07
◇・◇・◇
「ちょっと待ってくれ。アルヴィンスはなぜニーナを探しているんだ?」
ふと。ロビンが問いかけてきた。
『そうだな……』
回答に困る。
なぜならこれは推測であり、未だ答に辿り着けていないただの予測なのだから。
己れは地獄にいた頃、厳冬の地で、王女から託された欠片と同一の材質で出来ている欠片を見つけた。その欠片にはやはり古の文字が刻まれており、断片的にだが読み取る事ができた。
──から の望みを──最期へ────女神が**道標は し。
このままでは読解はままならない。
が、端々の言葉から何が鍵になっているのか、という事ぐらいは予測する事ができる。
王女から引き継いだ使命、終わりへ導く事。
何を終わりへと導くのか……それも分からないままだが、地獄で見つけた欠片には『最期』という単語がある。
そして次の文章では『女神』と『道標』。
この二つの単語の間に入る言葉があるとすれば、それはもしかしたら『示す』ではないだろうか。
都合の良い解釈かもしれない。もしかすると違うかもしれない。
ただ、思考を止めるのは本当の意味で死を迎える事だ。精神の死。心の死。
答が欲しくば、抗い、求めなければならない。
『ロビン、もしも己れが妹御を助けられるかもしれないと言ったら、お前は信じるか?』
己れの言葉に対するロビンの反応は、肯定の頷きただ一つだけだった。
言葉はない。たかが三日間丸々話し続けただけの間柄。しかしロビンの目はどうだ。完全に己れを信じきっている。




