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ヴァルハラ・ヴァルフレア  作者: えむ
二、アルヴィンス・ガザの導き
14/26

04

 そしてそれは、

『ロビン、お前ができることならば取り戻したいと願っているものと一致する』

「……どういう」


『ロビン。お前まさか、妹御が死んだとでも思っているのか?』


「……!?」

『考えてみろ。戦乙女は自ら人間に手を下す事はできない。ただ、魂の拘束は可能なんだよ。己れたちがいい例だ。お前は覚えていないだろうが、己れたちは一度地獄に堕ちている。そしてブリュンヒルドは「女神であるニーナ姫の覚醒を促す」と言ったらしいな』

「だけど僕はこの目で!」

『──四肢を切断されるのを見た、と。血しぶきを見た、と。だから死んだと?』

 では、

『己れたちは一体なんだ? 心臓は動いている。腹も減れば眠くもなる。肉体は失っているのに、だ』

 肉体とは器だ。

 存在を閉じ込めておくだけの殻にすぎない。暫定的な在り方にすぎない。

『お前の妹御は死んだのではない。囚われたのだ』

 背を預けた重厚な壁越しに、向こうの部屋にいるロビンの体温が上昇しているのが分かる。

 沈黙から温度が伝わってくる。

 ロビンに宿る力の核は言わずもがな『怒り』。猛り狂う灼熱の焔。

 対して。己れは──


   ◇・◇・◇


 主君を守る盾。時に最強の矛に転じる守護者。

 己れはその昔、騎士だった。

 放浪の傭兵であったところ、ある国の王女に拾われたのだ。

 美しく聡明で、強い人だった。闘いだけが取り柄の己れなど遠く及ばないほど。

 それはもちろん単純な腕力の話ではない。

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