実験室
其処には12、3歳位だろうか、幼い少年が診察台の様な所に両手足を括られ固定されていた。
少年はどこの国の言葉とも分からない叫び声を上げている。
この時僕は物凄く嫌な予感がしたんだ。
映像から見て取れる情報だと、これから何かの実験でも始まる様に見えた。その証拠に様々な薬品の瓶や病院にでも置いてありそうな、薄気味の悪い機械が少年の隣に並んでいる。
「なんだよこれ、一体なにしてんだよ…」
思わずパソコンに向かって呟いてしまった。
「ん?」
少年の様子が変わった。先程までとは違い叫ぶのを止め、一つの視線の方を向いて固まっていた。
僕もつられて少年が見ている先を目で追う。
「は、はぁ?おいおい、う、うそだろっ!」
自分でも未だに信じられない。
そこには、蟹とも海老とも言えない甲殻類の化け物共が立っていたのだ。
一体どこから現れたのか、いやそんな事よりも僕の目に映っている‘’奴ら‘’はなんだ?本物なのか?作り物じゃないのか?一気に僕の頭の中で様々な疑問が浮かび上がったが、そんな事を冷静に考えている暇もなく奴らは少年の方に近づいて行った。
そして奴らは、何をするつもりなのか、長く良く伸びた触角の部分をナイフとフォークに形を変えた。いや変形させたといった感じだ。
少年は足をバタつかせ、何とか逃げようとしている。もう悲鳴すらも上げられない程に混乱している様子だった。顔からは完全に血の気が引き、床には涙なのか鼻水なのか分からない液が垂れていた。
しかし奴らの中の1匹が無情にも動けない少年の腹目掛けて先程変形させた‘’それ‘’を振り下ろしたのだ。