悪人異世界へゆく
人の夢と書いて儚いと読む。とはよく言ったもので、まさに俺、間宮海の夢もあっけなくそれはもうあっさりと砕け散った。
俺は生まれつき顔が悪い‥‥あぁブサイクって意味じゃないぞ!これでも普通だと自負している。では、どこが悪いのかというと凄い悪人ヅラなんだ。
もう目つきは悪いわ、顔の堀は深いわでどこからどう見ても町のチンピラ、というかイタリアのマフィアと勘違いされたこともある‥
そのせいで俺はこれまで散々勘違いされてきた。
どれだけいいことをしても相手は怯えて何処かに逃げて行ってしまうか、泣き叫ぶか、で
犯罪者と間違えられ何度冤罪をかけられそうになったことか‥‥はぁ‥‥
一番酷かったのは、マフィアと間違えられて抗争に巻き込まれたことだな。あの時はガチで死を覚悟しました。はい。
俺は毎回こんなことに巻き込まれるので護身用に隣の武道道場に通って武術をならっている。
師匠は免許皆伝だ!とかなんとか言ってたからそれなりに実力はあると思う。
小さい頃から顔に似合わず正義感が強かった俺は中学校のある時まで人助けばかりしていた。まぁ‥感謝されたことは少なかったけど‥なまじ実力があってこの顔なので高校に入ってからは、なんか誰も絡んでこなくなった。
まぁ‥友達も少ないけどな‥‥
‥ん?部活?あぁ一応これでも道場の師範代やってるもんで部活やる暇はなかったな。
だいぶ話がずれてきたな、ここらで戻すとしよう。
どこまで話したっけ‥あ、そうそう夢な夢。
俺には好きな人がいたんだよ。その人と付き合ってこーなんて言うか‥結婚?して‥っていうのが夢だったわけよ。
ささやかだろ?
あぁ好きな人っていうのは幼馴染なんだけど、でもなそいつどうやら俺の親友のことが気になってるらしいんだよ‥「新って好きな人いるのかな?」とか、「今度遊びに新を誘いなさいよ」とかな?ちなみに新ってのは親友のこと。
もうこれ確実だろ?で、俺の夢は粉々ってわけ。
まぁいいけどな?幼馴染も親友も友達だしな?応援してやるよ‥身を引きますよ‥
え?‥ちげぇし、ないてねぇし‥‥‥グスッ
あ?親友はどんなやつかって?‥‥‥悔しいぐらいのイケメンで正義感の強いやつだよ‥
まぁ顔の時点で負けてたわけか‥
‥‥‥‥‥とまぁこんなわけで最近は、あいつらを二人きりにして俺は先に帰っていたわけだな。
やさしくね?俺やさしくね?‥‥‥‥すいません悔しくて一緒にいられないだけです。
でもねーなぜか今日は朝起きて家出て、登校してたら、幼馴染と新が歩いて、血の涙を流しながらそれを見守っていたらきずかれて三人一緒にとうこうすることになったんすよねー
何この状況‥え?どうしてこうなった‥
とりあえず幼馴染に話しかけてみよう!
「なぁなぁ‥なんか空気重くないっすか?」
「あ?」
ひぃっ‥怖い怖いよ‥なんだよあれ‥ごめんなさいごめんなさい好きな人と二人きりのとこ邪魔してごめんなさい。
「まぁまぁ彩華も落ち着いて‥せっかくまた三人なんだからもっと仲良く行こうぜ!な!」
イケメン君ないす!君が味方で僕は心強い!
「‥‥‥‥しかたないわね。新がいうなら」
‥‥‥あぁなるほど好きな人の言うことはきくというわけですかーそうですかー‥‥なんかむしゃくしゃしてきたなおい。
「てか、何お前ら朝早いじゃん、一緒に登校してんの?」
とりあえず聞いてみることにした。
「‥‥たまたまそこであったのよ。で、歩いてたら海を見つけたわけ」
「まぁそんなかんじだな。お前ー最近なんで早いんだよー」
新が肩を叩きながら聞いてくる。なんだこいつ‥うっとーしいやつだな
「たまたまだよたまたま‥ほら?朝早く行って勉強しようかなってさ」
「ふぅーん」
「‥‥‥ボッチ」
「そこ聞こえてるぞ」
失礼な奴らだな‥ボッチじゃねぇよ俺は‥‥‥‥多分。
そんなことを思って鬱になりかけてると、急に幼馴染がこっちを向いた。
「‥‥‥‥なんだよ」
「とりあえず!海はこれから私達と一緒に来ること!いい?」
は?おいおいおい、そんなことしたら俺の涙ぐましい努力はどうなるの?無駄になるじゃん!なに行っちゃってんのあんた!
心の中でしか言えない俺まじチキン。
「明日からもようじだからむりーー」
「あっこらまて!逃げるなぁ!」
後ろからなんか聞こえるけど無視無視。
このまま走り去ってやるぜ!俺は風になるんダァ!!!
全力ダッシュで校門をくぐり、階段を駆け上がって教室のドアを開く。
「おはよ‥‥‥‥‥‥は?」
「ハァハァ‥まちなさいって‥どうしたの?」
「足速いな‥お前‥‥どうした?」
あれ?教室が‥‥‥森になってる?‥‥‥‥
は?
どゆこと?これ?