湖と余裕
ユニークが1000を超えたとか夢なんじゃなかろうか・・。
久しぶりの更新です!
次の日、すっかり冷めた回復薬を味見すると飲みにくい青汁レベルまで落ち着いていた。
草汁から青汁への進化っぷりに思わずガッツポーズをしてしまった。
あとはこれに魔力を注いで完成なんだけど、魔力ってどう注げばいいんだろうか?
レシピにはただ注ぐとしか書いておらず全くのお手上げ状態。しかし!そこで出てくるのが精霊さん達!!なんと代わりに魔力を注いでくれた。こ、この人達いなかったら色々積んでたよなぁ、うむ、様付けを検討しておくか。
適当なガラスの容器に小分けしてコルクで密封。うんうん初めてにしてはいい感じなんじゃないだろうか?
それにしても流石ファンタジー世界の医薬品だなぁ、マメどころか切り傷や擦り傷も治ってるし、床で寝るせいで痛かった背中もなんとも無い。
素晴らしい!ただ、あっという間に治って行く傷を見るとやっぱ異世界なんだって再確認してしまうのが精神的にキツイけど。
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調子のいい体に鼻歌を歌いながら歩くこと35分、湖についた。
透明度の高い水は光をキラキラと反射して、水面を覗けば水底一面に生えている水草のあいまを沢山の魚が泳いでいる。
とても美味しそうだけど、道具も何も無い私では捕まえる事はできないし諦めよう。
ここら辺はまだ浅いのだろう、私の大腿部ぐらいの深さしかなかった。しかし奥に行けば行くほどに水深が深くなっていっているのは怖いくらい澄み切った水ごしでも容易にわかる。
そして私が湖に近づくと、わかってしまったが故の事態が発生した。
この湖なんかいるのだ・・・。
もうその時点で帰ろうと思ったが精霊さん達による事前情報で私にとって危険な生き物はいないはず。
帰り方がわからず、不本意ながらこの山にとどまっている身としてはここが踏ん張り所だと思った。
どのくらいの期間このファンタジーな世界に住むことになるかわからないのだからこっちの生態に慣れよう、慣れなければ。
いざ柔軟な思考で挑む!!
身を乗り出して湖の底を凝視する。
「おおぅ・・これはまた何で?」
クラゲだクラゲがいる。牡蠣とかの貝殻の裏っかわみたいな色のやつがふよふよしてる。
しかもかなり大きい。正確な大きさはわからないけど、沈んだら戻ってくるのが絶対無理そうな湖の底にいてなお余裕で発見できるサイズ。
なんていうかここって淡水だよね?クラゲって淡水でも生きれるのか?先程からクエスチョンマークが尽きないけど、まぁ変にグロイ奴とかこなくって良かったと思っとくか。
よくみると光の加減で体中色んな色に変わっていて大変目に美しい。
「ほ~、ずいぶんきれいな生き物もいるんだなぁ・・」
攻撃的ではない美しい生物をみて、少し、ほんの少しだけ心に余裕が出来た瞬間だった。
いいもん見たなぁと、ホクホクした気分でここに来た目的を果たすことにした。
まずは青蛇機能で精霊さん達におねがいをする。
『少量でいいんで水を浮かせてださーい!』
『うくー』
『えーい』
ポコポコと拳大の水球が日光にきらめく湖面に浮かび上がる様はとても幻想的だった。
私だって子供のころはファンタジー的展開に憧れたりもしたんだ。
写真を撮り、大量の水球を収納する。
これで無駄遣いしても結構な日数は持つだろう。
なんたってこの機能、一枚の写真として複数の物を収納したり、反対に1個づつ取り出すこともできる。
そして生物は収納できないが、入れた物の状態を保存することが、多分、出来るのだ。
これは昨日の葉っぱがずっと瑞々しいままだから遠からずあたっていると思う。
なんにせよそこら辺の疑問は時間が解決して行ってくれるだろう。
そうそう、カメラ機能に【写真収納】と名前をつけてみた。
ちなみに某レシピ集は【他人の知識《レシピ集》】とそのままだったりする。
名前付けるとか厨二臭いという無かれ、これも一種の現実逃避。
というかぶっちゃけてしまうとこんな所にでも遊び心を挟まないとストレスでどうにかなってしまいそうなのだ。
青蛇マークのアプリ名はいいのが思いつかないのでしばし保留ってとこかな。
「水、きれいだなぁ。」
水が綺麗過ぎて水浴びするのが申し訳ないくらいに。
やめよっかなぁ、今後もここで水を確保するなら気分的にもよくないし。
綺麗なものを汚すのに快感を覚える人種もいるが、私はそんな変態じみた性癖なんて持っていないのだ。
それにこんな大自然の中でマッパになるのも気が引けるし、小屋でどうにかしよう。幸いなことに水はいくらでもあるのだから。
精霊さん達にもう一度水を浮かせてもらう。先程のでコツをつかんだのかさっきの倍くらい水球が現れる。
なんとなく水球を見ていると、ある一点に視線が釘付けになった。
「ちょっと、あれって・・・」
そして私は____運命の出会いをした。
タイトルですが品川さんが湖を見つけたことにより、
生活面(水的な意味で)と精神面(クラゲ的意味で)の余裕が出来たからです。