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追及(1)


なぜ私と佐々丘さんはめたもうを見るのだろう。


私と佐々丘さんはめたもうを”狩ろう”なんて言って、

今までいろいろな方向から攻めてきた。

詳しく述べようとすると、佐々丘さんとの話し合いに費やした時間だけの

時間がかかるので割愛してしまうが。


まず、敵を知るために、自分たちの持つ情報を交換しあった。

たとえば、めたもうをいつ見始めたのか、

めたもうは何だと思っているのか、

どんなふうに見えるのか、

めたもうを見るとどんな気持ちがするのか、

などと、めたもうと自分との関係について分析したりしてみた。


また、めたもうが出そうな場所で実験してみたり、

めたもうを昔見ていた祖母や母に連絡を取ったり。


昔の文献から”めたもう”という単語を検索してみたり。


しかし思い返してみると、

佐々丘さんが私からめたもうの情報を得て「ふーん」と言っている

構図が多い。


佐々丘さんはそして自分なりのめたもうに対する理論を組み立てようとしている。

私は蚊帳の外である。

佐々丘さんは自分の見解を私と共有しようとはしない。

一人で勝手に納得している。

これはギブアンドテイクに反する。


でも私は特に、すごくめたもうについて知りたいわけではない。

今まで話が通じる人がいなかったので、

めたもうのことをわかってくれる人がいて、

私の体験談を聞いてくれるというだけで、

私は嬉しかったのだ。


しかし、佐々丘さんはそんな甘い考えじゃない。

本気でめたもうについて知りたがっている。


佐々丘さんは私から得られる情報がなくなれば、

この会合をやめてしまうのだろうか。


さて、私はこれからどうしよう。


初めて考え出した。


考え出したのはもちろん、

佐々丘さんの彼女の存在を知ったあの雨の夜からだ。

私はふと立ち止まって、

佐々丘さんの背中を一歩下がったところから眺めることで、

客観的に見ようとしていた。

これはどういう状態なのかと。



「佐々丘さん、

佐々丘さんはどうしてめたもうをつかまえようとしているんですか」



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