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天使の人形(2)
「あれ、天使はどこいった?」
「あ、また中に回っちゃってる」
「なんか、そうやってかばんの把手につけたりしてるから、
…首、とれてきてない?」
「えー?!うそ。
……ほんとだー。
修理しなきゃ」
「金具の位置が悪いんじゃないの?
首の後ろについてるでしょ。
修理する気力があるんだったら、
ついでに頭のてっぺんに付け替えたら?
なーんか、天使の首吊りみたいだね(笑)」
「変なこと言わないでよ!」
「あ、違うか。逆だ。
首吊ったから天使になっちゃったんだ。
そう考えると、そのキーホルダー、
甘い系かと思いきや、ダークだね(笑)」
「ちょっとほんとやめてよー。
私そういう冗談嫌いなの。
これはまだ無事だからね。
生きてるんだからね。
私が大切に手当てします。よしよし」
私は人形のキーホルダーを外して、
丁寧にかばんの中に入れる。
「そんなむきになることないじゃん。
冗談だって」
「そういう冗談いやなの」
「ごめんごめん」