女子大にて(4)
「でも彰子が霊感少女だったとは意外だなあ」
「……」
「うん、確かに髪黒くてストレートでおかっぱだし、
目も黒目がちだからそれっぽいけど」
「おかっぱー? なんか菊人形みたいな言われようだなあ。
そんな髪まっすぐでもないよ」
そこで、彼女、千晴はルーズリーフを一枚取り出し、
彰子の似顔絵を描いた。
「こんな、こんな感じー!」
千晴はこういったイラストが得意だ。すらすらと迷いなく描いてある。
顔を赤くしてうつむいているのが、
なんか悔しいが、似ている。
「うーん、我ながら似てるね。
じゃあ君はこの隣に佐々丘さんを描きなさい」
「えーーー」
「さあ、さあ」
そこで私はシャーペンを受け取って、
描いた。
「うーん、なんか違うなあ」
「彰子さん、これはなんですか?」
「めたもう」
「はいはいわかりました。
…これ、後で消すよ」
「いいよー」
「佐々丘さん書いてよ、佐々丘さん」
私は迷い箸ならぬ迷い筆が多い。
薄く書いた。
面長な顔。
ちょっと天パっぽい色素うすい髪。
眼鏡。
細い目。
まゆげ。
やる気なさげな口を一本棒で。
Yシャツにネクタイ。
「……ちがう、ちがう、全然似てなーーい!!
もっとね、もっとなんか坂本竜馬っぽいの。
もっとしっかりしててすっきりしてるのー!」
「分かんないよ、ほらほら、どうどう。
つまり君は惚れちゃってるわけだ」
「違うもん」
「違くないって」
「違うもんねー!」