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女子大にて(2)
「私はめたもうって、言葉も、一度も聞いたことないんだけど。
彰子はなんで知ってるの?」
「うん、たぶんね、うちの家系が
めたもうを見やすい家系なんじゃないかなあ?
だから”めたもうには気をつけろ”って世代を越えて代々伝わってきた」
「あ、なるほどー」
「私のただの憶測だけど、あいつが出現することを
”める”って言うんじゃないかなあ?
それであいつのことを神様か、畏れ多い霊か何かと考えていた昔の人が、
”め”なさる、つまり”め給ふ”
”めたもう”って呼んで、
次第にあいつ自体を”めたもう”って
呼ぶようになったんじゃないかなあ?」
「おおお、さすが国文(国文学専攻)」
「えっへん」