第97話 黄金の魔力(2)
「星香、まずオレはお前と結婚するつもりなんて毛頭ないし、君の期待するような付き合いにはならない。悪いけどオレにはオレの立場ってのがあって……」
「……女を振るのに長々と言葉を連ねるべきではありませんわ」
「い、いや……それは申し訳ない」
「ふふっ……冗談ですわ。あなた様がそう答えるであろうことは分かっておりましたから。そうですね……まず私の力からお話ししましょうか」
話してくれるのか。まぁ機械竜なら他に聞かれることもないだろうからな。操縦している執事さんは知ってるということか。
「私の目、これは“黄金の魔眼”という魔眼なのです。一族で同じ魔眼が発現するのですが、少し特殊で常に一人しかこの眼は持たないのです。つまり私は特殊な継承能力者でございますの」
「オレ以外の継承能力者に会うのは初めてだな。魔眼ってのも珍しいんだろ?」
「その通りです。特に魔眼そのものが能力となると希少ではありますね。そして力というのが簡単に言わせていただくのなら“的中率100%の占い”といったところでしょうか。そしてそれが我が国の宝、“金色の水晶”と呼ばれるものにございます」
金色の水晶ってのは能力だったのか。意外というかなんというか……そうなると歴史の破壊者は星香を狙ってるというわけだな。まだその辺はバレちゃいないだろうが……そうなると放っておくわけにもいかない。
「的中率100%というと……未来予知みたいなもんなのか?」
「全てを占えるわけではありませんが、似たようなものにございます。しかしジンリュー様のそれとは少し異なりますわ。少し違いますけれど、あの人の力は言ってしまえばどのようなエンディングに辿り着くかを見るもの、私のはトゥルーエンドに辿り着く方法を見るものにございますから」
「庶民的なたとえを出してくれてありがたいよ。それでそのトゥルーエンドってのがオレを連れていくことだと?」
「はい。しかしその内容については今は伏せさせていただきたいです。こればかりは私とミルアルト様のお二人だけで話さなければならないのです」
「分かった。君がそう言うのなら従おう」
星香はどこか寂しそうな表情で“ありがとうございます”と答えた。彼女はルーシュのことを口の軽い人間だと思っているわけじゃない。たぶんあまり聞かれたくない話なのだろう。
恐らくオレにも積極的には話したくない内容だろうということはその表情から見て取れた。
「ところでミルアルト様、あなた様の指輪はどこか不思議な感じがいたしますわ」
「ん? あぁ……これは八雲って名前の妖刀なんだ。すっかりオレのことを主人として認めてるらしいよ」
「なるほど。八雲を打ったのは200年以上昔の華陽の刀鍛冶、金丈一という方ですの。そしてそのお方は私の“花酒”を打ったお方でもありますわ」
そう言って星香は一振りの刀を取り出した。空間収納か。……しかし星香が剣士だとは驚いたな。
ミライアとの試合のときは武器など使ってはいなかったから……まぁ守護者の力を優先的に使っていたのだろうが。
「そしてこの二振りを使っていたのがた鈴旗玄雷そのお方です。ご存知ですか?」
「そりゃ知ってるが……マジか」
鈴旗玄雷、オレでもその名くらいは知っている。アーサー=ベルドットが現れるまでは歴史上ただ一人の九星級として記録されていた人物だ。そして史上最強の侍として世界中でその名が知られている。
ベルドットさんを除けば神話の英雄に匹敵しただろう数少ない人物だ。嘘か真か、魔物との戦いでは海を二つに割るほどの剣術だったという記録もある。
「こうもあなた様と縁深いとは……私、感激で前が見えませんわ」
「偶然だから! 縁なんかじゃないよ!」
ルーシュは変わらず星香に噛みついた。どうにも気に入らないようだが……まぁ口は出さずにいようか。




