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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第六章 華陽大帝国
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第96話 黄金の魔力(1)

 朝はすっかり静かになっていた。霊明祭はもう終わったんだな。半日しか参加していなかったせいで短く感じるが……みんなはたぶん疲れてるだろうな。今日は授業はないが生徒会の方には行かないといけない。


 オレは生徒会の制服を身に纏ってから寮を出た。途中でルーシュと合流し、一緒に生徒会室に向かった。十分ほどゆっくり歩くとやっと到着したものの……そこには紅茶を嗜んでいる少女の姿があった。


「……ちょっと早くねぇすかね」


「あら、何事も早い方がいいのですよ? 私は余裕のある淑女でありますから。……ねぇ? ジンリュー様」


「そうだなぁ……ここは何も自由にしていい場所じゃないからな……。茶は出すがそれ以上のもてなしはしないぞ?」


「ええ、もちろん。そこまでお世話にはなりませんわ」


 星香は当然のようにソファに座って話していた。確かに生徒会室に来るとは言っていたが、まさか朝から来てるとは思わなかった。


 そして星香を見ると変わらずルーシュは警戒している。いや、昨日よりも警戒してるかもしれない。


「星香とジンリューは知り合いなのか?」


「ええ。遠いのでお会いする機会はほとんどありませんが、何かと縁がありまして。私としてはミルアルト様との縁があればと思うばかりですが」


「ミルアルト、モテる男はツラいな? こんな女に気に入られたんじゃ困ったもんだろ?」


「ご冗談を。ミルアルト様があなた様のようにつまらぬ感性をお持ちなわけがないではありませんか」


 ……この二人は縁があるというか、だいぶ仲が良いんだな。星香も優雅に笑ってはいるもののどこか圧を感じるというか、独特の雰囲気を発している。


 オレと話しているときのやけに興奮しているのも素だろうが、たぶんこっちも冷ややかな感じも素の表情だろうな。


「そのようなことよりもミルアルト様、お決めになりましたか?」


「ああ、連れて行ってくれ。君に少し興味があるや


「まぁ! ならばこれは婚前旅行ということですわね!?はぁ……病気でも患ったかのように胸がときめきますわ……」


「誰もそこまでは言っちゃいねぇ」


「おう。旅行でも偵察でも好きに行ってくれ。コイツがいたんじゃうるさくて敵わん」


「私はあなた様と違って淑やかでしてよ」


「ちょっと! 私もついてくからね! あななとミラを二人にはできないわ!」


「もちろんですわ! 私もルーシュ様と仲良くないたいと思っておりましたから!」


 オレとルーシュは星香に学園外へと連れて行かれた。後から確認したことだが、校長の方には星香が直々に説明していたらしい。


 つまりアレだ。この人はどう転んでもオレを連れて行くつもりだったということだ。質問をしておきながら……


 機械竜に乗り込むと、そこから見える景色はそれは素晴らしいものだった。遥か遠くに見える山や海が流れるように視界から消えていく。列車とは違って酔うこともない。


「……せっかくだから景色を楽しんでいたいけど、流石に少しくらいは話してくれないか」


「ええ、もちろんですわ。まず……」


「待て! なんであなたがミラの正面に座ってるのよ! 私だってミラの顔を眺めてたいんですけど!」


「おい、落ち着け。暴走しかけてるぞ」


 別に隣でも正面でも大して変わらないだろうに……。ルーシュが星香に対抗心を燃やしているせいでどうにも厄介なことになりつつある。


「落ち着いてくださいまし。ルーシュ様はその位置が最も運の良いところなのです。ルーシュ様はその……大凶ですから」


「大……!!なんですって!?」


「ちなみに今日は私は末吉、ミルアルト様は大吉でございます。流石私の運命のお人ですわ」


「だからミラはあんたにあげないって言ってんでしょ!」


 ……アレだな。ルーシュはだいぶ手玉に取られてるせいで上手く会話ができねぇな。とりあえずこの場を収めねぇと……

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