第82話 イカれた王(3)
「はっはっはっ! いやぁ、すまないね! 流石に公共の場で君達と話すわけにはいかなかったんだ! 外国の人を放っておくわけにもいかないしね! ああ、兵は出たまえ。護衛はいらないよ」
「はっ!」
「えーっと……」
王城に連れて来られたオレ達はそのまま王子様の自室へと連れられた。てっきり牢にでも入れられるんじゃないかと思っていたんだが……案外好待遇じゃないか。本当に話をしたいのか。
「まず自己紹介をしようか。僕はロウドン・スザン=カルテッド。この国の第二王子だ」
「ああ、あなたが。……なんでオレ達のことを知ってるんです?」
オレはストレートに尋ねた。誤魔化す必要はない。オレ達以外に聞いてるヤツもいないからな。
「君こそ知ってるだろ? 王は歴史の破壊者と繋がっているんだ。噂で聞いたんだよ。君達が来ると」
……やっぱり歴史の破壊者と繋がってるのか。そしてそれが王だと……鵜呑みにするわけにもいかないが十中八九事実だろう。しかし困ったというかなんというか……。
「……噂で情報が漏れてんじゃ参りますよ。なんで歴史の破壊者にバレてる?」
「そんなの僕は知らないよ。歴史の破壊者に従ってるフリはしてるけど、やっぱり怪しまれてるんでね。……君達はウチとアイツらが繋がっている証拠を取りに来たんだろ?」
「ええ」
「ならコレを貸してあげよう」
「ん?」
そう言ってカルテッド様に渡されたのは鍵だった。……鍵? 鍵??なぜに鍵……? どこの鍵だ?
「それがあれば王城の大抵の部屋には入れる。恐らくは父……王の執務室に何かしらの書類があるとは思うよ。調査に来るのはいつ頃だ?」
「……明後日の深夜ですね。それまでは街を見ておきますよ」
「そうか。僕は警備に口を出すことはできないから注意したまえ」
「お心遣い感謝します」
……マジに協力者なのか? 未だに敵意は感じられない。信用できるのか? こんなに胡散臭いのに? ……あまり警戒しすぎるのも失礼か……
「ねぇ、この国にいる歴史の破壊者ってどんなヤツなんですか?」
「ああ、C72とかいう男だ。能力は知らないが、恐ろしく強い奴だよ」
「C? 初めて聞くタイプだな。No.なんとかじゃないのか?」
「歴史の破壊者には三つのタイプがいるらしい。A型とB型とC型、A型の10番以下はNo.と呼ばれているらしい。呼びやすいって理由らしいから深い意味はないようだがね」
「ま、待ってください。歴史の破壊者ってのはどいつもこいつもイカれた強さなんです。それがそんなに大量にいるんですか?」
「……そうらしいな。A型は最もスタンダードな、B型はより魔法能力に、C型は武術能力に長けているらしい。とはいえそれも個体差があるらしいがな。ともかく、アレには気をつけなさい。君達がどれほど強いが知らないが、関わらないに越したことはない。アレは法帝様に任せるんだ」
法帝のことも把握しているのか……。いや、オレ達のことを知ってるなら知らない方がおかしいか。
話を終えた後は城外へと案内され、そのままオレとルーシュで下級街へと戻った。そこで適当な空き家を見つけてそこに入った。
ガラリネオさんに王子から聞いた話を、あらかじめ貰っていた魔導通信機を使って伝えた。武術に長けた歴史の破壊者、魔法を使う彼には相性が悪いだろう。
それでも彼の言った“問題ない”という言葉には充分な自信と重みがあった。




