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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第四章 イスダン迷宮
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第79話 “海帝”ガラリネオ(3)

 それは東大陸の北西に位置する小さな島国、そんな国の都市に建てられた世界最大の建物だ。


 どれだけ離れていてもすぐに見つけることができるほど大きく派手なその建物の最高層で彼は待っていた。エレベーターでそこまで上るのにも数分はかかる。それほど高いところに彼は構えていた。


「よく来たな小僧! ソイツがアリベル=ルーシュだな!?」


「はい。同行の許可をありがとうございます」


「堅苦しいのはいい。どうせ大して思ってねぇだろ。とりあえず話をするからそこに座れ」


 オレとルーシュは遥々とガラリネオさんを訪ねに来ていた。用意されていた椅子に座り、彼の話を耳を傾けた。


「まず俺達がロウドンですることは一つ。王城や貴族の屋敷に侵入し歴史の破壊者(デスティニー)と繋がる証拠を見つけること。ただ最悪、外部の“何者か”と繋がる証拠が見つかればそれでいい。その際に戦闘が必要ならして構わない。問題が起こったとしても全て政府が誤魔化してくれる」


 政府が正規な手順を踏んだ戦争に介入することは基本的には禁止されている。しかし政府が悪と判断している組織などが加担している場合、政府の者が介入することは問題ない。


 だからこそ完全な証拠がない限りは法帝も介入はしないのが規則だが、どんな理由があれ歴史の破壊者(デスティニー)は無視できないというわけか。


「……でもあの国は鎖国状態では? そもそも入国が可能なので?」


「それはウチの部下が上手くやっている。空間転移で不法入国だ」


「脳筋ですね」


「当初の予定では俺様と小僧で動くつもりだったが、アリベル、お前がいるなら小僧とセットで動け。俺様が一人で動く。初日は街の様子などを調査してもらうが、二日目以降は本格的に資料の調査をしていく」


 ……確かにいきなり動くよりは色々と様子を伺った方が把握はしやすいか。最悪街中で戦闘が起こることも考慮して地形なども見ておきたい。


 戦時中ならば市民の生活も苦しかろうが……恐らく貴族達は豪遊しているのだろうな。


「そしてここはハッキリさせておこう。お前達が危機に瀕すれば優しい俺様は助けてやろうと考えちゃいるが、もしお前達を見込み無しと判断したら見捨てはせずとも助けもしない。いいな?」


「ははっ。もちろんですよ。むしろオレが助けてあげますよ」


「だはは! そうか! 楽しみにしておこう! ……さて、もう一つ共有すべきは能力スキルについてか。お前達のものは知っているが……小僧、お前剣はどうした?」


「ああ、この指輪ですよ。ついこの間妖刀を買った……というか貰ったんです」


「妖刀だぁ? くっく……やっぱりお前は俺様を退屈させねぇな! 好きだぜ。そういうイカれた奴ァよ!」


 妖刀と聞くだけでイカれたヤツとは……失礼な話だ。それとも手懐けてるからか? ……すぐ隣でルーシュが驚いているのは無視しておこう。


「少し逸れたが、俺様の能力スキルは『青の大賢者』、大規模かつ強力な水系統魔法を使うことができる。まぁ俺様の力量を遥かに超えるようなモンは使えねぇが、魔力消費も抑えられるからなかなか便利だ。……で、これを聞いてお前ら、どう思った?」


「『青の大胸筋』とかの方が似合ってるなと」


「失礼ながら魔法と聞くと一般的な能力スキルには劣るのかなって思いました」


「……小僧はともかくアリベル、お前の言うことはおおよそ正しい。魔法を能力スキルのように扱えるわけだが、能力スキルと魔法には隔絶した差がある。今回はどうということもないだろうが、大抵の奴ら……まぁお前らみたいな奴のよりは強力だが、他の法帝と比べれば破壊力は低い方だ。加えて俺様には守護者もいねぇ」


「それはまぁ……珍しくはありますね」


「まぁなんだ。昔はなんというか……ヤンチャしてたからな。天界にいるような優等生には振り向かれなかったのよ」


 ……なんか含みのある言い方だな。ただまぁ詮索はしないでおくか。オレには関係のないことだ。


「さて……。カナ! 三人分の転移にはどれくらいかかる?」


 ガラリネオさんは秘書と思われる女性に話しかけた。十法帝会議に付き添っていた人だ。転移ということは“上手くやった”という部下だろうか?


 流石にここから北大陸へ転移魔法を発動することはできない。あらかじめ設定した一つの座標にのみ発動する転移術、といったところか?


「いつでも行けますよ。ただ相当な長距離で酔いやすいかと思います」


「良い仕事だ! ならばすぐに出発しよう。お前らもいいな?」


「ええ」


「もちろん」


「ならば行こう! 北の国、ロウドン!」


 開かれた転移門に入ると、少しの間歪んだ空間に揉まれた後に見知らぬ土地に立っていた。酔いのせいで気分が悪くなっていたのは言うまでもないだろう。しかしオレの気分が極めて悪かった理由はそればかりではなかった。

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