表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第四章 イスダン迷宮
72/123

第71話 圧倒的存在(1)

「会話ができる程度には落ち着いたかな?」


 ただ一人部屋に残ったジンリューが話しかけてきた。他のみんなは部屋の外だが……だからこそか。オレとしても確認はちゃんとしておかないといけない。


「……ああ、問題ない。……ありがとう。あいつらに話を聞かれるのはマズいから」


「気にするな。まずは君が気絶してからのことを話そう」


 ジンリューはオレの感謝を軽く流して話を始めた。彼にとって気遣いがあったとかではなく、素でオレやみんなのことを考えてくれているようだ。


「仮面の男は君に“何か”をした後、俺に対しては何もせず、何も話さずにすぐにどこかへ行ってしまった。だから正直なところ、あれからのことは話せるようなことはないな」


「……そうか。アイツは魔眼を持ってたよ。それだけが強さの秘訣とも思わねぇが」


「魔眼ね……。少しは調べておこう。次に俺から言いたいのはヤツの強さだ。……アレは異常だ。俺でも目に追えない……いや、もはやそんな次元ですらない」

「俺は八星級の実力に片足踏み込んでいると自負してはいるが………アレはそれを超越している。……九星級ですら指標としては足りていないだろう。空想的な表現だが、アレは言うなれば十星級だ」


 十星級……それは決して過大評価などではない。セリアが似たようなことを言っていたのだから、仮面の男は人間に太刀打ちできるような力ではないというのは確かだ。


「デス……いや、それは伏せておこうか。仮面の男は極めて悪質な組織に所属していると考えているんだが……その幹部を君は倒したんだよな? 組織について、話せる範囲で聞きたい」


「仮面の男が組織の者なのは間違いないと思うが……話せるほどの情報を持ってはいないってのが正直なところだな。組織について分かってることなんてほとんどない。その全貌についてはもちろん、ヤツらの平均的な強さも一切分かっていない。確かなのはヤツらが“王”と呼ぶ存在が兵士を作り出しているというところか」


「“王”ね……。困った話だよ、まったく……。あんなのの上に更にいるっていうのか?」


「仮面の男が“王がどうの”と言ってたから確かだろうな」


 そうだ。あの男ですらトップではない。あれだけの強さを有していながら、組織を束ねる存在ではないのだ。一体どうなっているんだ……。


 そもそもそれだけの力をすでに持っていてなぜ大々的に動かない? それほどルシファーは慎重なのか?


「まぁ分からんことは仕方ないか。君はしっかり休んでなさい」


「ああ、悪いな」


「そうだ。別に全然関係のないことなんだが……」


 部屋を出ようとしたジンリューは、何かを思い出したように足を止めた。歴史の破壊者(デスティニー)についての話ではなかろうが……。


「俺は個人的にだが、君のことを極めて気に入っている」


「はぁ……そりゃまた急なことで。申し訳ないがオレにはルーシュという大切な人がいてですね……」


「茶化すな茶化すな。そんな話をしてるんじゃないよ。俺は君に可能性を見ているんだ」


「それがイマイチ分からないって言ってるんだけどね」


「そう急がなくてもいい。ただ、本気でオレの一位(地位)を奪いに来い」


「……いいのか? そんなこと言ったらアンタ、せっかく得た序列を失っちまうぞ?」


「変わらず口は達者だな。俺はそれをしてみろと言っている」


「……ははっ、敵わんな、やっぱり。よぉーく首洗って待っといてくれ」


「ああ、それでいい」


 ジンリューはそれだけ言って出ていった。オレはずいぶんと買われているようだな。悪くない気分ではあるが……まぁいいか。


 オレは頭を枕に置いて布団の中をまさぐった。……? いや、そうか。置いてあるのか。


 オレは部屋の中を見渡した。……見えない箇所はない。部屋の全てを見れるはずだ。なのに……ない。どこにもない。


「おい! セリア! どこだ!?アレがないじゃないか!?回収されてなかったか!?拾いに行かねぇと!!」


「? 何? どうしたの?」


「200万で買ってもらったんだ! あんなに良いのは他にねぇし……無くしたとなっちゃいくらなんでもやり切れねぇよ! 早く迷宮ダンジョンに行こう!」


「え……だから何?」


「“八雲”だよ! 八雲の回収に行かないと……!」


「あぁ、なんだ。そんなことね」


「“そんなこと”じゃないよ! ……え、いや、そんなことなの?」


 その辺りの価値を分からないセリアじゃない。八雲ほど上質な刀も少ないからすでに誰かに拾われていてもおかしくはない……


 だから早く確認しなければと思うのだが……。どうもセリアの落ち着き具合が気になる。


「……悪い。少し取り乱した。……何か知ってるのか?」


「知ってるも何も、気づいてないの? 左手」


「左手? ……ん? 何だコレ?」


 セリアに言われて自分の左手を見てみると、人差し指には見慣れない指輪が嵌められていた。白く輝く金属で綺麗なものではあるが……いつの間に嵌めてたんだ? こんなもの買った覚えはないぞ?


「呪いの武器ってそういうものよ。まぁ物にもよるでしょうけど……妖刀ってなるとそれほど小さい装飾品になるのね」


「!?え、コレが八雲ってこと!?」


「そうよ。主として認められたってことね。たぶん今までよりも扱いやすいんじゃない?」


 言われてみれば確かに……魔力も生命力もそこまで吸われていない気がする。何をきっかけに認められたのだろうか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ