第61話 休日(3)
その魔力量はおよそ七星級の上位といったところか。ロイドと共に進んでいくと、少し開けたところで大量の魔物とソイツが見えた。
「なるほどなぁ……この前とは打って変わって、随分と魔物と仲が良いじゃねぇかよ」
「うぅん? 誰だアンタ? …………あぁ! いや、アンタか! この前は助かったぜ! 本当によ!!」
「そう思ってる割には忘れてたようじゃねぇかよ」
ここまで近づくと、オレでもあの男がNo.8と近しい存在だということを理解できた。やはり感知能力が向上しているようだ。
セリアの反応からも歴史の破壊者だということは確実だ。そうなるとコイツの正体をロイドに知られるわけにもいかないな。
「ロイド、悪いがアンタにゃ魔物を任せてもいいか? 七階層の魔物に引けは取らないだろ」
「そうだな。俺も思うところはあるが、あの野郎に用があんのはお前だもんな。せめて邪魔にならねぇように離れたところに引き寄せておこう」
そう言ってロイドは全ての魔物に軽く攻撃し、ヘイトを買ってからどこか遠くへ行ってくれた。
これなら何にも気にかける必要もなく戦える。いや、戦う前に聞きたいこともある。
「お前は歴史の破壊者の一員ということでいいか?」
「私達のことを知っているか! いや、それも当然か。貴様はグランデュース=ミルアルトだな!!私はNo.6だ!!」
「オレのことを知ってるのは光栄だが、No.6か……。魔力からするにNo.8よりは大したことねぇと思うんだがな」
歴史の破壊者は全員オレのことを知っているのだろうか。なぜ顔まで割れている?
……いや、No.8に関してはオレに気づくまでは時間がかかっていたし、オレの情報が細かく共有されたのは最近のことか?
「“番外”を除いた私達ナンバーズの間に序列はない。確かにNo.8は私より強いが、それは与えられた名には関係のないことだ。……そんなことよりグランデュース、私は貴様に聞きたいことがあるんだ」
「オレの好物はいちごパフェだぞ」
「そんなことはガールフレンドとでも話してやがれ。そうじゃあなくてだな……王はえらくグランデュースにご執心だ。貴様と……貴様の背後にいる剣姫にな。一体王に何をした?」
「分からねぇな。オレとしてはなんでその“剣姫”の存在を知っているのかが不思議でならねぇんだ」
「心当たりはねぇのか。平和な頭の野郎だぜ」
オレの周り、少なくとも学園にはにコイツらと同じような魔力を持った者はいない。いるとすれば歴史の破壊者と繋がっている人間だ。
今のところは一切手掛かりを得られていないが、歴史の破壊者と戦えばいずれ何かしらの情報を得られるかもしれない。
「オレもお前に聞きたいことがあるんだが……」
「答えられるものなら答えてやるよ。私は優しいからな」
「お前達の王というのはルシファーのことか?」
「その通りだ。王とはルシファー様のこと。肉体は若いが私達の生みの親であり偉大な世界の王になられる存在……!!」
生みの親か……やはりルシファーが歴史の破壊者のボスらしい。となるとコイツらは読み通りルシファーの力によって生み出された人工生命体ということだろうか。
「ならもう一つ、ルシファーとルシフェルの関係は?」
「それは答えられんな。王は生前の記憶を失っておられる。貴様らはそう考えているようだが、私達も王の正体は知らん」
「生前の記憶はないか……当然のことだな」
「質問はそれだけか?」
「そうだな。そろそろ始めよう……!?」
「なら貴様とはここでおさらばだ」
目の前からNo.6が消えたかと思えば、オレは後ろから頭を蹴られ、地面に強く踏みつけられた。大きく割れた地面に顔の骨が砕かれるような感覚だった。
「ガキはロックじゃねぇから好きじゃねぇのよ。苦しまずに死ねて良かったじゃねぇか」
「…………おうおう、言ってくれるじゃねぇか。ちと痛ぇが、まさかお前この程度で人が死ぬとでも思ってんのか?」
オレはチカチカと点滅する視界を抑えて立ち上がった。魔力を纏うのがあとコンマ数秒遅れていたら、オレの頭蓋と脳がかき混ぜられていただろう。速いとかいうレベルじゃなかったな。
「ハッ! 頑丈なガキだな! 良いぞ! 貴様は多少はロックそうじゃねぇか!!」
「困ったな。オレはお前みたいなヤツにゃ認められたくねぇんだが」
頭が痛むせいでテンションが若干変になってるな……。まぁいいか。
どんなテンションでもオレはコイツを倒せばいいんだ。オレは話しながら八雲を抜いて、剣先をNo.6に向けた。




