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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第三章 会議
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第49話 九つの帝(3)

「だからあくまでも推測よ。ただルシフェルが生前持っていた能力スキルは『混沌の支配者(カオス・マスター)』、それは世界の秩序を作り、操り、支配する力。魂を生み出すのも何かしらの制限はあるでしょうけど、アイツなら不可能じゃないわ」


「にわかには信じ難い……」


「そしてもしもルシフェルが生前の力を持って人類の前に立ちはだかったら……それこそ私達が手を合わせて戦おうとも勝つことは不可能。問題なのはそれなのに相手の居場所を突き止められないことだけれど」


 セリアの言葉によって部屋には緊張感が走った。他でもない、神話の時代を生きていた英雄が言った言葉だ。実際に体験した彼女の言葉は、誰のものよりも重く現実的なものだった。しかしその中でも冷静に言葉を発したのは最強の男だった。


「謙虚に“推測”と言う割には確信めいた言い方ですね。セルセリア様、ルシファー、というより歴史の破壊者(デスティニー)のボスの正体がルシフェルである確率はどの程度だとお考えですか?」


「九割くらいかしら。まず間違いないと思うわ。よほど似たような者じゃなかったらね」


「なるほど……。それは困りましたね」


「組織で見れば八星級がさらに最低で八体はいるわけじゃから……歴史の破壊者(デスティニー)の尻尾を掴んだとて正面衝突はできんな。少しずつ削っていく他ない」


「……それなら考えても無駄じゃねぇか。遭遇したら片っ端から潰す。セルセリア様もそれでいいんじゃないですか?」


「そうね。魔神となると正直備えることも大して意味がないから。ただ絶対に無理に戦うべきではないわ。敵戦力の上限が分からない以上こちらの戦力を失うわけにはいかない」


「なら当分は我々の戦力増強に重きを置くべきですかね。七星以下の者達を鍛えるという意味でも魔物討伐や迷宮ダンジョン攻略は推奨していくべきかと」


 その後会議は続いていき、決定したことは三つだった。一つ、ギルドを通して政府が魔石や迷宮ダンジョンの産出品を高価で買い取るということ。


 二つ、ギルドに対して一定量を無償で回復薬やポーションを提供すること。


 三つ、中央連合加盟国の代表に対し歴史の破壊者(デスティニー)について現状把握している情報を共有し、協力を求めること。


 ただしそれらの情報は一般市民には共有しないこと。理由としては共有してしまえば世界中で混乱が巻き起こるからだ。


 会議が終了し、十法帝達がセリアに挨拶をしにきた。特に妖精帝ようせいおう、シュリナさんはよく話していた。オレは邪魔をしないよう少し離れていたから内容は分からないが、楽しそうに話していたので共通の話題、恐らくセリアのかつての仲間であるフリナという方について話していたのだろう。


 話が終わったようなので帰ろうかと思ったところ、“海帝”ガラリネオさんがオレに話しかけてきた。


「おい、小僧! お前、ウチに来ないか? 5000万は出すぞ」


「へぇ、そりゃ嬉しいですけど、残念ながら魔物を狩ってりゃ食うのに困らないんですよ。そもそもオレはあなた達の席を一つ奪おうと思ってるんで、あなたの下につこうとは思いませんよ」


「はははっ!!そうか! そんならこの俺の誘いにも乗らねぇか! ふふふっ……ならどうだ? 今度俺は北の国、ロウドンに行くが、着いてこねぇか? もちろん相応の金は出すさ」


「ロウドン?」


 ロウドンと言えば北大陸の島国で、先進国には珍しい連合非加盟国だ。そして何より、二年ほど前から隣国と戦争を行っていることで有名だ。


 そんな国に、ましてや政府関係者である法帝が入国することができるのだろうか。


「何をしに行くんですか?」


歴史の破壊者(デスティニー)が関わってるんじゃないかって話だ。戦場では魔物が確認されているようだし、ロウドンは戦争をできるほどの兵力を保持していなかったはずだ。というわけで、俺様が潜入するわけになったんだが、お前も手伝ってはくれねぇかってことだ」


「……いいですよ。その話、受けましょう。オレも歴史の破壊者(デスティニー)には因縁がある」


「よく言った!!じゃあ追って連絡しよう。それまで腕を磨いておけ」


 ガラリネオさんと別れ、オレは校長の方へと寄っていった。学校まで送ってもらい、オレは寮に戻った。


 歴史の破壊者(デスティニー)の活動が活発になっているということは、近いうちに世界を蹂躙してしまうかもしれない。そうならないよう、オレ達にできることはヤツらが整う前に、少しずつ戦力を削っていくことだ。ガラリネオさんの言う通りもっともっと強くならなければならない。


「セリア」


「うん?」


「今度から特訓はもっと厳しくしてくれ。死なない程度にしごかれても、強くなれずに殺されるんじゃ意味がない」


「じゃあ、死なないでね」


 死ぬ気で鍛えなければ成長量なんて高が知れてる。そして一人だったら死ぬほど追い込むことはできないだろう。


 だがオレにはセリアがついているんだ。たとえオレが呼吸を忘れたとしても攻め続けてくれるだろうし、倒れたとしても助けてくれるだろう。


 鍛えるために最上の環境がオレにはあるのだから、未来を甘んじる必要などない。

第三章完結です!

前回、十法帝の方達は紹介しているのでそれ以外の方達を


ルシフェル・・・神話の時代に討伐した魔神。詳細は第一作目『神話の英雄譚』より


ルシファー・・・歴史の破壊者(デスティニー)のボス。ルシフェルの転生体……?


サンダーグラスジンリュー・・・序列一位、生徒会長。能力スキル泡沫夢幻エフェメラル・ドリーム』を持つ

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