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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第三章 会議
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第46話 神話に建てられし聖なる要塞(3)

 授業を終え、生徒会の仕事も終わらせてから寮に帰り、通信魔導機で家に繋いだ。母さんと父さんに経緯を説明し、許可をもらおうとした。


 最初のうちは反対もされたけれど、階層が浅いこと、セリアもいることを理由に最終的には許可してくれた。ついこの間も心配をかけたばかりだからもっと強く反対されるかと思っていたけれど、オレのことを応援してくれているのか、想像よりはあっさりとしていた。だからこそ、オレは母さん達の期待に応えたいと思った。


 数日後、今日は週末で、つまり学園は休みだ。それなのになぜ学園の廊下を歩いているのかというと、校長室に用があるからだ。今日は以前から伝えられていた十法帝会議の日だ。校長が転移魔法で一緒に連れて行ってくれるらしい。


「グランデュース=ミルアルトです」


「おお、来たか。なら少し早いが行ってしまおうか。途中で話もしておいた方がいいかもしれないしね」


「分かりました。お世話になります」


 校長がオレの肩に触れ、渦巻くように何かに飲まれた。気づくと街の中に出ており、促されるままに準備されていた魔導車に乗り込んだ。法帝が乗るものであるだけに、乗り心地は非常に良かった。


「さて、ここはアイズベール、これから向かうのは聖国議堂だ。十法帝の全員が参加するかは分からないけど……まぁ身構える必要はないよ」


「ありがとうございます」


 アイズベールとは、聖都・ヘルダルムの北に隣接している小さな街だ。昔は周辺の街と合わせてヘルダルムのうちの一つの地域だったらしいが、街の機能性などを考えて今は分裂しているらしい。


 ちなみに聖国議堂は神話の時代にセリアが作り出した“煌焔”というクラン、つまり“冒険者によるギルドに次ぐ組織”の本部だったところだと聞いた。もちろん劣化はしているので定期的に補修をしているようだが、張られていた結界が極めて上質だったために今でも形を保っているのだとか。


「まぁ、何かあったら私が守るから心配しなくていいよ」


「! おい、急に出てくるなよ。狭いじゃんか」


「いいじゃない。たまには私だって実体化しないと窮屈なのよ」


「我が強い法帝達でも、流石に英雄に大きな態度を取るような者はいませんから。ミルアルト君に危害を加えようとする者もいませんよ」


「そうなの? じゃあされるだけかもね」


 セリアは含みのあるような言い方をした。オレも何もされないことはないだろうと思いつつ、魔導車の外を眺めていた。


「ああ、しかしアレですね。中央政府の頂点にはラファエル様がいらっしゃるので、彼にはお気をつけ下さい」


「ラファエル……」


「天使様です。彼自身は人間界のいざこざや政治には関与しないのですが、立場的に崇められるお方ですから。彼に気をつけるというよりは彼に対する態度に気をつけていただきたいです」


 天使様とは創造神様の子のことだ。創造神様はこの世界を創られた最高位の神様の一柱で、当然多くの宗教が、そして信者でなくとも崇めている対象だ。その子ともなれば彼らも世界中から信仰対象とされている。


「ああ、ラファエルさんか。私天界で何回か話したことあるわ」


「そ、そうですか……。なら礼儀をどうと言うべきでもないですね……」


「しかし、人間界に干渉しないというなら何のためにおられるので?」


「中立の証人としてだね。特に天使様が中立となればそれが創造神様の御意思となるので、宗教間の争いを少なからず抑制することにもなるから」


 なるほど……信仰する対象が中立であれば、その信者も中立となるのか。もちろんそれが完全な抑止力になるわけではないけれど、意味が小さいわけではない。


 15分ほど車に揺られた後、やっと聖国議堂に到着した。現代に見るかつてと変わらぬ景色にセリアは感傷に浸っていたけれど、すぐに幽体化した。オレは校長の後ろについて行き、会議室の前までやってきた。


 無い重量を感じるのは、この奥に最高峰の魔力が集まっているからだろう。理解できぬほどに濃い魔力のせいで、魔力の数を正確に測ることはできなかった。


 扉を開くと、そこには写真で見てきた人達が八人並んで座っていた。

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