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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第三章 会議
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第42話 予定(2)

「おお、早かったな、ミルアルト。校長にはもう少し捕まってるかと思っていたよ」


「危なかったけどな、なんとか抜け出したよ」


 校長とは別に積もる話もなかったからな。捕まってたとしても案外すぐに解放されてたかもしれない。……いや、そんなことに関係なく校長の話が長いのは決まっていることか。


「まぁとりあえず話をしようか。今月末に霊明祭が控えてる。我々生徒会はその運営や各クラスのサポートをしていくわけだが……そもそも霊明祭が何か、一年は知ってるか?」


「オレは知ってる」


「私も」


 霊明祭、それはこの学園において序列戦に並ぶ二大イベントだ。これは学園のみならず街や国としても盛り上がる行事であり、守護者、つまり現世に舞い降りた魂を敬い感謝する祭りだ。


 そして学園では屋台や出し物の他に武闘大会、“霊明武会”も行われる。基本的にその大会では守護者の力を使って、あるいは守護者本体を顕現させて戦うこととなり、守護者と契約者の総合的な強さを競うものとなる。


 基本的には天現融合をして戦うものだが、稀に守護者だけの戦闘も見られるために序列戦とはまた違った盛り上がりを見せる。


「霊明武会には学園内外を問わず参加者がある。そんな中で生徒会からも何人かは出てもらいたい。まずはそれを決めよう」


「オレはパスしてもいいか? あまり深くは言えねぇけど、守護者が特殊なんで人目につく場で力を出したくはない」


「私もパスするよ。守護者がいないんじゃ話になんないもんね」


「……そうだな。ルーシュはいつも通りだが、ミルアルトについても今回はパスにしよう」


 ジンリューの許可によってオレとルーシュの不参加は認められた。オレに関しては理由を言えないだけに不審がる人もいたけれど、ジンリューの一言でその不信感は解消された。


 流石は生徒会長といったところか、言葉の価値がオレなどとはまるで違い、カリスマ性のようなものさえ感じた。


「それならウチは出ようかな。会長は今年も出ないんだろうし、“格”を考えるならウチが出ればいいんじゃない?」


「私も出たいかな。せっかくだし、色んな人と戦いたい」


「ボクも出させてくれ。せっかくの機会を逃したくない」


「……他がいないなら三人に任せるとするか。君達には後日ちゃんと説明するよ」


 霊明武会に出場するのは序列三位のフリダム=ミライアと序列五位であるカミュール、そして序列無しのヴァンルージに決まった。


 ミライアはジンリューやルーシュとは大きな差があるけれど、オレやカミュールよりもずっと強かった。魔力量で言えば六星級でルーシュと同じ階級だったか。実力で言えば三番手、それでも充分だとは思うが、正直人柄の良さで言うなら生徒会で一番じゃないかな。


「そういえば一年の学外学習は二週間後だろ? そう考えると君達はなかなか忙しいかもな」


 ジンリューはオレとカミュール、ヴァンルージを指差してそう言った。……恥ずかしながらオレにはその言葉の意味がよく分からなかった。


「学外学習ってナニ?」


「……知らないのか……。もう少し人の話は聞いておけ」


 ジンリューは呆れたように言った。先生の話は聞いてたと思うんだけどなぁ……何かを考えてるときに話されてたのだろうか。オレが悩んでいるところでジンリューが説明してくれた。


「学外学習、確か三日ほどあっただろ。どっかで何かするってやつが」


「すごい曖昧だな。アンタも言うほど知らないのか」


「そうじゃない。言ってしまえば各々が自由に行動できるということだ。許可さえもらえればどこに行こうと、何をしようと構わない。まぁセルフ遠足みたいなものだよ」


「へぇ…………へー!!そりゃいいな!!」


「そう思うなら話を聞いておけ」


 それからは霊明祭の内容について細かな説明を受けた。出し物については予算などもしっかり決まっているようで、そう大規模なものはできなさそうだ。一通り確認した後にその日は解散することになった。


「ミルアルト、少しいいか?」


「ん?」


 帰ろうとするオレを止めたのは、序列七位のタームレイド=シュベッツだった。昨年から生徒会に所属している……四年生だったか。彼の身長は190センチメートルを超えており、腕も脚も丸太のようにデカい。生徒会の中では最もガタイが良い気がする。


「お前に争奪戦を申し込む。俺が勝ったら俺が六位、お前が七位だ」


「オレはいいけど……今からか?」


「へぇ……いいんじゃない? ミルアルト君が休んでるうちにウチらは交流もしてたし、君の力も見てみたいもの」


「そうだな……なら俺が立会人になろう。結果は俺が管理する」


「じゃあカミュールとヴァンルージも残ってくれ。ルーシュも見ていくか?」


「そうね、っていうかみんな見ていくんじゃないの? そういう雰囲気じゃない」


「そっか。よし。じゃあ行こうか、シュベッツ」


「ああ、迷惑をかけるな。よろしく頼む」


 そうしてオレ達、生徒会は全員で闘技場に向かった。空は薄暗くなっているが、遅い時間でもない。校内に残っている生徒も少なくはないだろう。


 できる限り人とは出会わないように移動した。しばらく歩いて闘技場内に入り、オレとシュベッツ、ジンリューを残して残りは観客席の方へと向かった。

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