第40話 生徒会(3)
しかし想像以上に詳細に話してくれたな。もっと曖昧な説明をされるのかと思っていた。
「たかが生徒会に入る条件なのに、思ったより細かく説明してくれたな」
「それが約束だったからな。それに君には期待をしていると言っただろ? 近い将来、今の俺の力を凌駕するだろうしな」
「? まぁ……そう思ってもらうのは嬉しいですけど……」
「これは期待じゃないぞ。言うなれば予言だ」
……予言? ……あれか、この人はそういうのを信じるタイプなのか。オレは占いや予言というのは都合の良いものしか信じないタイプだからな……共感しづらい部分もある。
「……何を考えているのかは知らないが、これは俺のもう一つの力だ」
「ッ!?能力ってことか? 能力は二つ以上は持てないはずだろ?」
「俺の能力ではなく、守護者の能力だ。近い未来であればあるほどに不透明だが微細に見ることができ、遠い未来であればあるほど粗雑だが鮮明に見ることができる。もちろん見ることができるのはほんの一部の未来……つまり断片だな。その力を俺が利用しているわけで……俺の力を超えている存在の未来は見ることができないが」
「へぇー……。遠い未来の方が鮮明なのか。そういうのって逆かと思ってたよ」
「運命というのかな。そういうものは大体決まっているんだ。未来を見て行動を起こし、近い未来を大きく変えたとしても、世界の修正力によって運命の軌道は大して変化しないんだよ。そういう面ではバタフライ効果なんてものは無いに等しいのさ。世界の力を超える存在がいたとしたら、あるいはその限りでもないのかもしれないけどな」
なんか……難しいな。とにかく未来を見ることはできるが、そこまで便利でもないということなのだろうか。未来を見たとしても変えることが難しいとは……まぁそうでなかったらなんでもアリになっちまうか。
「……つまりあれか? 話を戻すとあるときからオレの未来が見えないってことか? 死んだわけではないよな?」
「死んだ未来は見えないけど……察しがいいな。半年後くらいか、君がどこかに行ったと思えばそれ以降の未来は見えない……つまりその時点で今の俺の力を超えたということだ。そのときの俺がどれほど強くなっているかは分からないが、少なくとも君は侮れない存在になる。ちなみにルーシュに関しても大体同じ時期から今の俺を超えてるな。成長が目まぐるしいよ」
「未来ねぇ……どうも実感が湧かねぇな。そりゃウソはついてねぇんだろうけど、なかなかそういうのは信じてこなかったから」
「まぁそうだろうな。……じゃあそうだな、一つ警告しておこう。歴史の破壊者には気をつけろ。アレのせいで随分と死にそうだ。大量の人間が殺される未来だけは変えたい。俺の見た未来では生きていたと言っても、君が死なないという確証はない」
「!!……その名前は一般には知られていないはずだ。……未来で見たのか?」
「やはり君は知っていたのか。今はまだ極秘事項のようだが、いずれ奴らは大衆に牙を剥き始める。数年と経たずに世界は嵐に飲まれるぞ。……まぁそれに備えて君は鍛えるのかもしれないがな」
戦争でも起こるというのだろうか……それだけは止めないといけない。歴史の破壊者に抵抗する力もない今ではオレは何の役にも立たないな。
……それを理解しているからこそ、この人はオレを生徒会に入れたがっていたのか。オレを強くしたいから……。
「さて、話はそれぐらいかな。自分の部屋へは帰れるか?」
「あぁ、大丈夫だ。……一つ聞くが、未来を見たか、ルーシュから聞いたかでオレの守護者について知ったことはあるか?」
「? ……守護者に関しては俺より強いだろうということしか分からないな。君の守護者についての未来は一切見えないから。ルーシュは君のことを自慢はしていたが、守護者については口が堅かったし、何なのかは知らないが心配はしなくていいと思うぞ」
「そっか。それならいいんだ。じゃあオレは帰るよ」
オレはジンリューとの話を終え、寮の自分の部屋に戻った。なかなか有意義な話を聞けた気がする。実際に見てみない限りはどんな力なのか、具体的には分からないけれど、思っていたよりもずっと面白そうなものだった。
近いうちに争奪戦を申し込んでもいいかもしれない。オレは眠りながら密かにそんなことを考えていた。




