第38話 生徒会(1)
オレが獄境に行っている間に生徒会のメンバーは大体決定したらしい。オレが入れば序列持ちは全員生徒会に入ることになるらしいが……オレはやっぱり面倒くさいんだよなぁ……。
ルーシュの説明は雑だから生徒会の特権などはイマイチ理解していないからその辺はちゃんと確認しておかないと。
一日の授業を全て終え、荷物をまとめてから生徒会室に向かった。普段はそんなところに用もないから少し迷いながらも、数分遅れて到着することができた。部屋にはすでに生徒会の七人が長椅子に座っており、会長は中央のテーブルに着いてオレを待っていた。
「待ってたぞ。グランデュース=ミルアルト……君のことはルーシュやカミュールから聞いていたが……いつの間に五星級になったんだ? 序列戦で四星級になったばかりだったろ?」
「つい先日のことっすよ。獄境で魔物と戦ってたんで。……生徒会は序列持ちだけかと思ってたんすけど、一人多いですね」
「ああ、彼は君と同じ一年のアリアド=ヴァンルージだ。Aクラスだがセンスがありそうなんでね、誘ったんだ。そのうち序列を狙ってくるかもしれないぞ」
そう言うと右端に座っていた男が軽くお辞儀をした。魔力は三星級程度だろうか、少し前のオレと同じくらいの魔力量だ。
これといって脅威を感じるようなものはないが、確かに何か不思議なものを感じる。それが何なのかは分からない。ある種の魅力なのか……とにかく面白そうなヤツだ。
「ま、とりあえず聞くけどさ。君、生徒会に入る気はある?」
「それは色々考えたけど、もう一回詳しく生徒会の説明をしてくれませんかね。ルーシュの説明じゃよく分からないんで」
「ははっ! そうかそうか。うーん……仕事なんてのは正直、行事運営の手伝いとか、上級生としての引率程度のものしかないな。どちらかと言えば得られる特権の方が大きいだろうな」
「そうじゃなきゃ誰もやらないでしょうからね。それで、その特権ってのは?」
「まず学園内の施設は全て自由に使うことができる。加えて学園外においても生徒会役員証があれば優遇してもらえることが多い。そして最も大きいのは欠席したとしても公欠になることだな。極端な話、毎日休んでも生徒会員であれば咎められることはない。まぁそんなことがあれば除名するだろうけどな」
「へぇー…………? ルーシュがサボり過ぎでよく怒られてなかったか?」
「ペナルティがないというだけだ。残った仕事を放り出してサボっているのを黙っていられるわけないだろ。大した理由もない休みなら尚更な」
まぁ……当然と言えば当然か。ルーシュは仕事をしなさそうだし、そんなヤツは生徒会には要らないだろうしな。……ルーシュはよく生徒会、しかも副会長を続けていられるな。
「ルーシュを除名しようとは思わないんで?」
「厄介な奴だとは思ってるけどな、それだけ序列の意味も大きいというわけだ。不本意ながらコイツは二位、ぞんざいに扱えば生徒からの反発もあろう」
「不本意って何よ」
「加えて全校生徒からの人気も高いときた。君も気をつけろ」
“気をつけろ”……? どういう意味だ? ……まぁ今は気にしなくていいか。ジンリューの軽さからしてそう重要なことでもないだろう。
「しかしなぁ……大して利点を感じないというか……感じ悪いだろうけど大抵のことは頼めばなんとかなるんでね。……正直わざわざ生徒会に入るってのは……」
「まぁそうだろうな。どうやら君には何か隠し玉があるみたいだから……そういう反応にはなるだろう。だからお前が望む条件を一つ言え。俺の力でどうにかなることなら何でも飲もう」
「そんな待遇でいいんで?オレは所詮は六位の一年でしょ。そこまでして生徒会に引き入れようとする理由が分かりません」
「君にはそれだけの価値があると言っているんだ。投資だとでも思ってくれ」
ジンリューの瞳には期待が籠っていた。それだけオレに可能性を見ているのだろうか。そうならばまぁ……悪い気はしないけれど、あまり大きなことは言いたくないかな。とはいえ生徒会に入る条件となると、無駄なことも願いたくない。
「……それならあなたの力について教えてください。序列戦でその片鱗は見ましたが、あれだけではないでしょ?」
「ははっ……そんなことでいいのか?」
「ええ、あまりねだると外野からの反感が大きそうなんで」
「そうか。いいぞ、状況をよく客観視できている。それなら後で場所を移すとしようか。他の者に聞かれたんじゃ約束が違うからな。……で、つまり生徒会に入るってことでいいんだね?」
「ここまで言われたら断るわけにもいかないでしょ。俺としても悪い話じゃないですしね」
そう言ってオレは話を承諾した。最初はどうするか悩んでいたが、ジンリューがこれほどまでに期待してくれているなら応えてやりたい。そして学園最強に近づける機会も、これを逃せばそうそうないだろう。




