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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第二章 魔天皇の城
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第37話 わがまま(3)

(セリア、オレはランファ先生と校長先生は歴史の破壊者(デスティニー)とは繋がってないと思う)


(一応聞くけど……理由は?)


(もともと二人だけがセリアのことを知ってて……それを他の教師に伝えた。もし敵って立場なら隠そうとすると思うんだよな。その方がオレのことも誰も気にかけないだろうし)


(確かにね。……まぁ二人候補から外れたところであんまり変わんないけどね……)


(最初はそんなもんだよ。ちゃんと調べないと……いや、調べても分からない可能性の方が高いか……)


 セリアと少し話しながら歩いていると、教室にはすぐに到着した。もともと向かっている最中に先生に捕まったから当然か。オレが教室に入るや否や、クラスのみんながザワザワとし始めた。


「ミルアルト! お前無事だったのか!!どっかに行っちまったかと思えばそこでなんか襲われたって聞いたから心配したぞ!」


「ラルヴァか。心配してくれるのはありがたいが、お前に心配されるほどオレは柔じゃねーよ」


「ッ……!!人の心配をテメェは……!!」


「ははっ。冗談だ、悪かったよ」


 あまり心配ばかりされるのも柄じゃないしな。過ぎたことをそう何度も言われるのは気分の良いものではない。多少は生意気な方がみんなの気も楽ってもんだ。


 席につくと、後ろからリアンとカミュールが声をかけてきた。


「君……魔力増えてないか? ついこの間四星級になったばかりだったろ?」


「確かにな。昇級したのは序列戦だったか。あれから三週間も経っていないぞ。何をしていた?」


 カミュールは当然として、やはりリアンの感知力も相当なものだな。少し見ただけで分かってしまうのか。


「色々やってたんだよ。だから帰るのが遅くなったんだ。……さて……」


 先生から伝達事項やら何やらを聞き終わり、オレは教室を出た。一時限目の魔法論理学の授業が始まるまではまだ時間がある。……まぁ多少遅れてしまってもこの際構わないか。


 とにかくオレは授業のことなど忘れて、三年の教室へと向かった。距離が少しあるから鉢合わせるのは渡り廊下辺りだろうか。そう思って歩いていると、そこよりずっと手前側で彼女が見えた。


「ミラ……!!」


「っ!!」


 顔を合わせるや否や、ルーシュは有無を言わせずにオレに飛び込んできた。静寂に包まれた廊下の中で、彼女の腕だけがカタカタと小さく震えていた。


 傷の完治していない身体は腕に圧迫されるだけでもかなり痛みが走った。けれどそんなオレの痛みよりも、ルーシュの痛みの方がずっと上だろう。


「ミラ……生きてる…………怖かったよ……!!」


「……ごめんよ」


 ルーシュは顔をオレの胸元に埋めていたせいで表情を確認することはできなかったが、わざわざ確認せずとも声の震えで分かった。


 オレはルーシュの頭に手を置いて、抱きついている彼女をさらに引き寄せた。これで安心させることも難しいだろうけど、ほんの少しだけでもオレがいることを実感させてあげたかった。


「……謝ることじゃないけど…………。ねぇ、ミラ?」


「……うん?」


「もうさ……強くなろうと思わなくてよくない……? 私がもっと強くなって守ってあげるからさ…………夢だって……ミラが命をかけてまで叶えなくったってよくない……? 私……嫌だよ……。ミラが死んじゃうんじゃないかって…………怖いよ……」


「……ルーシュがオレを守りたいように……オレもルーシュを守りたいんだよ。守られてばっかじゃ格好がつかないだろ? 大好きな人の前でくらいカッコつけたいじゃんか」


「…………それで否定したら私が悪者みたいじゃん……。ズルいよ……」


 緊張は解けただろうか、ルーシュの震えは収まりつつあった。それでも心の奥まで染み込んだ恐怖を振り払うことは難しいだろう。そればっかりは責任を取らないと……。


「じゃあ代わりに……私のお願いを一つだけ聞いて」


「オレのわがままを許してくれるなら、どんなわがままでも受け入れるよ」


「……怪我は最悪してもいいけど、絶対に死なないで。ミラは私より二つ歳下だから、私が死んでから二年以上は生きてくれないと許さない……! 戦いは逃げてでも生き延びて、死ぬのは寿命だけにして……」


「ルーシュよりも長生きしなきゃいけないのか。無茶な願いだけど尽力するよ」


「うん。……それなら今回のことは許してあげる。約束だよ……?」


 そう言ってルーシュは笑ってくれた。震えはすっかり無くなり、腕の力も優しくなった。そっと身体に回された腕を解き、目に浮かんだ涙を拭ってあげた。少し腫れてしまっているな……。


「そうだ……今日は授業が終わったら生徒会室においで。入るかどうかは別として、ジンリューが会いたがってるから」


「分かった。じゃあまたそのときに」


 そう言ってルーシュとは別れた。一時限目開始のチャイムが少し前に鳴っていたので少し急ぎ足で教室に戻った。こっちに来るときよりも足が軽いような気がする。

第二章完結です!

もし面白かったら評価、ブックマーク等もしていただけたら嬉しいです✨


グランデュース=ミルアルト・・・本作主人公。序列六位、五星級に至る


ネフィル=セルセリア・・・ミラの守護者


アリベル=ルーシュ・・・ミラの幼馴染


ネフィル=ユリハ・・・神話の時代から生きている不老の存在。セリアとエストの娘のような存在。無限の魔力を持つ


アーサー=ベルベット・・・人類最強の男。十法帝の一人かつ、唯一の九星級


ベルベットの師匠・・・???


No.8・・・歴史の破壊者(デスティニー)の一員


ベータ・・・歴史の破壊者(デスティニー)の一員


ランファ・・・一年特等クラスの担任


ジンデール・・・鬼教官。ルーシュの担任かつ、生徒会の顧問


ラルヴァ・・・ミラのクラスメイト


シリアン=カミュール・・・ミラのクラスメイト。剣士。序列五位


リアン・・・ミラのクラスメイト

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