表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第一章 序列戦
24/126

第23話 とっておき(1)

 オレの魔力は熱く燃え上がっていた。……当然、セリアの魔力のような熱さとは違ったけれど……こう何か……言葉にはし難い熱さが込み上げていた。


 そんなことを考えていると、斬り倒した大樹が再生を始めた。さっきの一撃でルーシュを倒せていたのなら、こうはなっていないはずだ。


「今の……なかなか良かったけど、“とっておき”かな? ……でもそれより興味深いことがあるね」


 森の奥の煙から、剣を構えたルーシュが現れた。オレの斬撃を受け止めたのか。流石は六星級といったところか。


 ルーシュの様子からするに余裕で受け止めた、というわけではなさそうだが、それでもやはりオレの攻撃は簡単には届かない。だが………。


「この感覚は初めてなんだ。今まではこんなことなかったから。ルーシュは何回ある?」


「幼いころは分からないけど……三回か四回かな。初めての進級、おめでとう」


 ……これが三星級の壁を超えた四星級の境地か。力が、魔力が溢れ出すような感覚だ。これまでの数段の魔力量になっている。今まで超えられなかった壁を、やっと、この一戦で超えることができたんだ。


「……せっかくだし、直接剣を交えてみようか。その方が楽しそうだ」


「そりゃ嬉しいな。その方がオレも楽しいよ」


 オレは木をスパスパと斬ってルーシュと剣を交えた。剣が触れ合うと衝撃で闘技場が揺れ、オレは腕力を頼りにルーシュを吹き飛ばした。


 魔力はさっきまでよりずっと鋭くなっている。剣の威力もオレの方が上だ。けれどルーシュの剣を弾くことはできない。ルーシュは決して剣を手放さず、オレの力に押されたときは身体ごと飛ばされるようにしていた。


 そして再び機動力スピードを生かして接近し、剣を交えている間に横から植物が襲ってくる。ヒットアンドアウェイで消耗を抑えているルーシュに対して、オレは神経も体力も摩耗している。細く軽いはずのルーシュの剣が、実際よりもずっと重く、大きく見える。


「ちょこまかと……リスみたいな動きしやがって……」


「褒め言葉と受け取っとくわ」


 瞬きをすればその隙にルーシュは木の影に隠れている。そして死角からオレを斬ろうとする様は、剣士というより忍者や暗殺者のようだった。それでいて充分な破壊力のある剣を振るのだからたまったものではない。


 やはり機動力のある相手に地の利を取られるのは困るな。それでも……オレよりも圧倒的に速いルーシュになんとか喰らいつけているのは、それよりも速い相手を見てきたからだ。セリアと比べれば追いつけない相手じゃない。


「さて……ッ!!」


「わっ!?」


「『斜断嵐ハスダチアラシ』!!」


 オレは少量の魔力を放出しながら力の限りに剣を振った。剣圧は森を斬り倒し、その残骸を巻き上げて嵐のような風を巻き起こした。


 巨大な木の枝に立っていたルーシュは足場を失いながらも、新たな森を生み出してなんとか持ち堪えていた。が、立て直すまでは時間がかかる。


 距離は離れているから攻撃手段は限られるが、今ここで勝負に出なければジリ貧で負けるのはオレだ。オレは大きく振りかぶってルーシュに目掛けて剣を放り投げた。


「ッ!??」


「さっきの質問、答えてなかったな……」


 唯一の武器を手放したことに、ルーシュは強く警戒した。剣を失えば勝負は簡単についてしまう。オレがそんな馬鹿なことをしないだろうと考えていた彼女は、円盤のように回転して接近する剣に触れずに、その進む先を見つめた。


 だがオレの手を離れたあの剣は、もはや攻撃には使えない。ただルーシュの警戒の目を引きつけるための囮だ。


 オレは左手の人差し指をルーシュに向け、残る全ての魔力をかき集めた。指先は発光し始め、そのエネルギーを感じたルーシュはオレの方に振り向いた。


「……何……ソレ……!?」


「とっておきが一つあるって……言っただろ!!」


 いつだったか。数日前、セリアとの特訓を終えたときに教えてもらったんだ。剣の英雄から剣技以外を教えられるのは不思議な気分がした。


——魔力の圧縮はだいぶできるようになったかな。……じゃあとっておきを一つ教えるわね。


——とっておき?


——魔力を圧縮していくとね、ある密度を超えたところから、強く発光し始めるの。そしてそれはそれだけ大きなエネルギーを持っているのと同時に、質量を持ち始める。そして周囲の魔素をも取り込み始めて新しいエネルギーに変わるの。


——ふぅん……。


——でもそこまでの力になると均衡バランスが大事になってくるのよ。属性魔力と無属性の魔素じゃとてもじゃないけど均衡バランスを保てなくて暴発するってこと。よっぽどの魔力量か魔力制御だったらなんとかなるみたいだけど、私じゃ扱えないわね。


——ダメじゃん。


——でもミラならなんとかなるかもって話よ。魔素を吸収してもその魔素を分解して飲み込んじゃうでしょ? だから君なら多少強引だけどそのエネルギーを使った技を扱えるってわけ。


——へー! どんな技なんだ?


——これは初歩だけどね、指先で魔力を圧縮して、圧縮して、白く発光し始めたらそれを撃つっていう単純な技。単純だけど雷より速いし矢よりずっと強力よ。まるで光線レーザーみたいなその技の名前は……。


「『白天』……!」


「くッ……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ