第21話 阻まれない斬撃の道(2)
「た……たった一撃! 宣言通り、一太刀で斬り伏せてみせました!!」
「序列戦第一試合、勝者! グランデュース=ミルアルト!!」
実況の宣言と共に、観客席は大きく沸いた。……やっと一勝だ。思った以上に魔力を使ってしまった。
……まぁこの程度ならセリアに補充してもらえば構わないか。流石に空になっていればそうもいかなかっただろうが、多少なら魔力が違えど賄うことはできる。オレは闘技台を後にし、選手室へと足を運んだ。
「どう思われます? 校長」
「とてもじゃないが三星級とは思えないな。セルセリア様の特訓は半端ではないと見える。序列戦が終わったら、生徒会にも入るのではないか?」
「そうですね。……これからが実に楽しみです」
選手室に戻ると、こちらも観客席に負けない熱気だった。ちなみに選手室は学年ごとに分けられていて、自由に出入りはできるけれど基本的には他学年の部屋に行くことはない。あるとすればよほど余裕があるか、よほどの仲である場合だけだ。
「ミルアルト君、流石の剣術だったよ。あのような一撃はとても私では真似できない」
「威力だけならな。オレだって並の鍛え方はしてないんだ」
「お前は勝ったってのに、俺は気が重いぜ」
「そう言うな、ラルヴァ。どうせ誰かは戦うことになるんだ。お前が勝っても負けても、次はどっちかがオレと戦うんだ」
「はッ! 良いご身分だな。正直言って、お前はどっちが勝つと思う?」
「オレがなんて答えるかなんて分かってるだろ。奇跡は願うに限るが、それに期待はするもんじゃない」
「意地の悪い野郎だ。俺の夢を砕くんじゃねぇよ」
そう言って、ラルヴァは笑いながら試合に向かった。第二試合は彼、そして対戦相手はルーシュだ。生徒会副会長という序列戦の目玉ともいえる者を二回戦に持ってくるのに、観客は大きく盛り上がっていた。はっきり言うとラルヴァに勝ち目はないだろう。
本戦出場は20名、一回戦が第一試合から第十試合まで、そこから二回戦、三回戦、準決勝、決勝と進む。
ちなみに一年のみんなはカミュールが第七試合、リアンが第十試合だ。カミュールはともかくリアンに関しては相手が生徒会長なので気の毒というかなんというか……彼の気の落ちようも理解はできないこともない。
「良かったな、ミルアルト君。君は強かったよ。とてもじゃないが僕は君のようにはできない。予選を突破できたことさえ奇跡なんだ……。僕は無様に負けて笑い者にされてしまうんだ……」
「まぁ……楽しめばいいじゃねぇか」
「君には分からないだろうな! 自信もあって力もある君にはさ!!」
「……なんか……ごめん」
最初はただ冷静で無口な男かと思っていたのだが……どうやら顔にもでないほど緊張…というか気を落としていたようだ。それはもう……見てるこっちが情けなくなるほどに。彼の実力は確かなものなのだがな。
第二試合は大半の予想通りルーシュが勝利し、一年生ではカミュールも二回戦へと進出した。その他も序列持ちの者達は躓くことなく二回戦へ進み、リアンも固有の“加速”魔法で生徒会長を掻き回していたが、彼の圧倒的な実力には届くこともなかった。
「一回戦最終試合! 第十試合勝者は!! 現生徒会長にして序列一位! サンダーグラス=ジンリュー!!」
生徒会長は間違いなく能力保持者だ。それもかなり強力な。……しかしそれがどんなものなのか、理解できるものではなかった。
今のオレではとても捉えることができるものではなかったのだ。圧倒的な身体能力の高さに加えて圧倒的な能力、序列一位は伊達じゃないというわけか。
オレは剣を握って二回戦の準備をした。相手はルーシュだ。気を抜けばすぐに負けてしまう。気を張り続ければ勝ち目はあるかもしれない。現状格上なのは間違いなくルーシュだ。格下は格下なりに、冷静に隙を突くしかオレには勝機はない。




