第19話 序列戦開幕(3)
そしていよいよ本戦の前日となった。今日一日は身体をしっかり休めることに集中し、魔力制御の特訓も夕方に少ししただけだった。
一週間というのは長いようで、けれど過ぎてみれば虚しくなるほど早かった。力を上げるにはとても充分とは言えない時間だったけれど、それでも今日には完成している予定だった。
……いや、先週にはすでに完成してると思ってたんだが……。
「なぁ、セリア。オレはの魔力はまだ三星級だよな? 気づかないうちに四星級になってた、なんてことはないよな?」
「ないわね。三星級の最上位ってところかな」
「……おかしくないか? 流石にもう三星級は突破しててもいいだろ」
正直先週の予選から魔力量が増えた気がしない。当然普通は一週間で増えるようなものでもないのだが、オレが今までしてきた特訓は普通じゃない。
実際にそれまでは数日でも感じるほどの変化があった。オレはまだ三星級なのだから、伸び悩むなんてことも起こるはずがない。
「ミラの魔力は質が高いって話したでしょ? 今まで身につくはずだった魔力を飲み込んでたからって」
「それは覚えてるけど……何か関係が?」
「たぶんね、そのせいで普通の人以上に階級の壁が高くなってるのよ。時間をかければ突破もするでしょうけど……まぁ本戦で良い刺激を得られれば突破できると思うわよ? 階級の壁なんて曖昧なんだろうし」
「本戦には四星級になって挑みたかったんだけどな。……今からセリアと手合わせしてもダメなのか?」
「それも時間をかければってところね。今までと同じようにやっても刺激なんて得られないでしょ? 刺激を得られるほどのことは本戦前にしない方がいいし」
もっともだな。あぁ……カミュールには四星級になるって言っちまったのに……。どんな顔して会えばいいんだ。
「まぁいいじゃない? 試合の最中で覚醒なんてカッコいいわよ?」
「……まぁそうだな」
その夜はセリアに魔力を整えてもらうだけにし、早々に眠りについた。A以下のクラスの試合は今日行われたから、明日は朝一からオレ達の試合だ。間違っても寝坊をするわけにはいかない。
当日は早朝に起き、軽く運動をしてから闘技場へ向かった。まだ試合が始まるにはまだしばらくの時間があるというのに、観客は随分と賑わっているようだった。そんな観客を横目にオレは選手室へ向かい、自分の出場する番を確認した。
「一戦目からかよ……。相手は2年の……」
ガラヌという男だ。聞いたことのない名だな……序列は無しか。油断はできないが序列持ちじゃなくてよかった。
昨年の四年生には、序列持ちが四人いた。彼らは卒業したので今は残りの四人しか序列を持っていない。そんな者達とは身体を温めてから戦いたかったからな。
「勝てるのか? ミルアルト」
「勝たねぇでどうするよ。お前は自分の心配でもしてろ、ラルヴァ」
「君、まだ三星級じゃないか? 四星級になるとかなんとか、言っていたじゃないか」
「……まぁ色々あったんだよ。期待は裏切らねぇさ」
選手室にいたラルヴァとカミュールと話しているうちに、気づけばもう時間となっていた。リアンは無口だからあまり話せなかったが、誰も緊張はしていなさそうだ。むしろ高揚していた。そんな彼らの高まりを先取りするように、オレは選手室を出た。
「さぁ、お待ちかね!! 聖都魔法学園、特等クラスの序列戦がいよいよ始まります!」
「栄光の一戦目! 序列戦本戦初出場! 序列入り候補が一人! 二年・ゼゼウラ=ガラヌ!!」
「そして生まれながらの三星級でありながら、今もなお三星級という少年! しかしその実力は確かなものだ!! 一年・グランデュース=ミルアルト!!」
会場に鳴り響く実況と共に、オレとガラヌさんは闘技場に入場した。ひどく盛り上がった歓声の中、オレ達は向かい合った。
「それでは序列戦一回戦、第一試合、始めッ!!」




