第18話 序列戦開幕(2)
オレはルーシュを探すために三年の予選が行われているところまで歩いた。オレ達一年とは熱気も迫力も異なっていた。特等クラスでなくても相当強いと確信できる。
「あ! ミラ!! こっちに来てたんだ!!」
「ルーシュが探してるって聞いたから。すれ違うと面倒だから三年側に来たんだけど思ったより早く会えたな」
「へへ! そうだね!」
ルーシュは相変わらず活発な少女という感じだ。知らない人からすればとても学内二位の実力を持ってるなんて考えられないだろう。オレだって初めて聞いたときは疑ったものだ。
「それで? 何か用でもあったのか?」
「いや、別に? 今日は暇だし応援にでも行こうかなって」
「それはまぁありがたいけど……」
わざわざ応援に来てくれるなら嬉しいが、三年の方はいいのだろうか。友達の応援とか……そもそも生徒会は仕事もあるだろうに。
「会長殿には怒られないのか? あの人はちゃんと生徒会の仕事やってるだろ」
「別にいっつもサボってるわけじゃないもん。先輩は優しいし許してくれるよ」
「……鬼教官は? 顧問だろ?」
「……見つからなければ怒られないよ」
見つかったら怒られるんじゃねぇかよ。本当はオレに構う暇もないんじゃないだろうか。純粋にオレの応援をしたいと思ってくれてるのか……それともサボるための言い訳か……。
「それで? 初めての序列戦、何か目標はあるの?」
「……生意気かもしれないけど、目標はもちろん優勝だよ。オレはルーシュと当たっても、生徒会長と当たっても、勝つ気で戦うからな」
「おぉ! そっか!! ……じゃあ残念だけど応援には行かない方がいいのかな。予選を通る自信はあるんでしょ?」
「自信はあるけど……別に応援はしてもいいんじゃないか?」
「ダメだよ。もし本戦で当たったときに、私だけミラの戦い方を知ってたんじゃ平等じゃないでしょ?」
まぁ……それもそうなのか? 確かに最近はルーシュと特訓することもなかったし、互いにスタイルは知らないな。変なところで律儀だな……。
「私はミラと当たっても手加減はしないからね。その代わりミラも遠慮しちゃダメだよ!」
「当たり前さ。むしろ手加減なんてされたら絶交だからな」
ルーシュが突き出した拳に、オレの拳を当てた。こんな約束をした以上、ルーシュと当たるまでは絶対に負けられないな。オレはしばらくルーシュと一緒に三年の予選を見て、オレの番が近づいてからは一人で一年の方へ向かった。
特等クラスの予選はそれまでのクラスよりもスムーズに進んだ。というのも、オレやラルヴァのような突出して強い者があっという間に勝負をつけてしまったからだ。特にオレは能力や魔法をことごとく破壊できたため、手こずることもなく勝ち進むことができた。
そしてオレやラルヴァの予想通りの四人が本戦出場ということになった。だが本戦はそう簡単にはいかないだろう。
オレの能力は魔力や魔法そのものを斬ることができるが、セリアのようにオレと隔絶した魔力を持っている相手には大して通用しないことは分かっている。そういう相手には大胆に攻めることはできない。少しずつ削っていくということが大事だ。
「グランデュース君……君は魔力量が増えない体質なのかと思っていたのだけれど、そうじゃないのか?」
予選が終わって寮に帰ろうとしていたときに、そう言ってオレに話しかけてきたのはカミュールだった。彼女の戦いは実に圧巻だった。スタイリッシュというかなんというか……無駄のない剣捌きには見惚れたものだ。
「オレも今までそう思ってたんだけど、違ったみたいだ。見て分かるほど変わってるか?」
「そうだな。確かにまだ三星級のようだが……もうじき昇級しそうだな」
「やっぱりそうか。なら本戦までには四星級に仕上げて来るか」
「ふっ。それならば本戦ではぜひとも君と戦いたいな。もし当たらなければ……そのときはいつか一戦頼むよ」
「……そうだな。オレもお前とは戦ってみたいと思ってたんだ。こちらからもお願いするよ」
そう言ってオレはカミュールと別れ、寮へと戻った。本戦は体力回復のためにも予選から一週間後に行われる。それまでは休むも鍛えるも自由。オレは今まで通りに魔力制御のために時間の大半を使い、夜はセリアと一対一での特訓を続けた。




