第17話 序列戦開幕(1)
時は一瞬のうちに流れてしまった。いくら特訓しても満足はいかなかった。満足のいかないうちに、序列戦の予選を迎えてしまったのは最高に最悪だ。
しかし気分は上がっていた。今までは見るだけだった試合を、今度はオレができる番なんだ。胸が躍るとはまさにこのことだ。
(セリアは見てるだけにしてくれよ。正直セリアが手を出したら誰にでも勝てちまうから)
(昨日から何回も……そう同じこと言わなくったって分かってるわよ。私をなんだと思ってるの)
まぁ実際セリアが暴走を起こすようなことはないだろう。だがどうにも今日はオレだけでなくセリアの方も緊張しているようだ。もしかしたら静かないつもとは違って頭の中にうるさく声をかけてくるかもしれない。それを見越しての“見てるだけ”だ。
序列戦は予選と本戦で分けられる。予選では各学年のクラスごとに試合をし、成績上位4名を決める。本戦は学年混同、クラスごとに行われ、一年から四年までの16名、特等クラスではそこに生徒会、今年は4名を加えた20名でトーナメントを行い、一位から八位までの序列を決定する。
原則として序列は特等クラスの者に付けられるものだが、A〜Cクラスの者に限ってはその序列を奪うために序列戦以外での決闘、“争奪戦”をいつでも申し込むことができる。
そしてその争奪戦では下位クラスの者、序列戦本戦ではB〜Cクラスの試合では魔導具の使用が許可される。少ない魔力量などを補うためだ。中には魔導具を扱うセンスが突出している者もいるらしく、そのような者を相手にすると上位クラスの者でも負ける可能性はあるだろう。
そういった事例があるために、一般開放されている序列戦本戦においては下位のクラスでも観客席は埋まっている。そして全体を通してスカウトされる者も少なくないのだから、この序列戦というものは普段の試験以上に本気で臨まねばならない。
オレに関しては予選で落ちることはないだろう。オレの学年ではオレに匹敵するほど強い者は一人くらいしか見当たらないからだ。
だが油断してはいられない。クラスの大半の者は天現融合を習得しているし、そうなれば確実に皆五星級以上の魔力量となる。ビビる必要はないが、お高くとまっている必要もない。確実に対戦相手は潰しにいこう。
そして当然、本戦にはルーシュも出てくるだろう。アイツは生徒会の副会長をやっているのだが、その地位と同じく学園内の序列は二位だ。
天現融合のない素の能力で六星級の彼女を、オレは超えていかなければならない。そうでなければ、オレは彼女を守るだなんて言えないのだから。
「おい、ミルアルト! お前は俺達のクラスからは誰が予選を勝ち抜けると思う?」
Cクラスの予選を見ていると、後ろから声をかけられた。その声の正体はラルヴァだ。なぜかは分からないが、以前の決闘以降オレに話しかけてくることが多くなった。
「そうだな……オレは当然進むとして……お前もそうだろうな。あとはリアンとカミュールが妥当じゃないか?」
「お前もそう思うか。教師共も俺達が当たらねぇように上手く振り分けてやがるしよ」
予選も本戦と同じようにトーナメント式で上位4名になるまで行われる。ただし敗退した者でも一度だけ上位4名の誰かに挑戦する権利は与えられ、それに勝利すれば打ち負かした者を押し退けて本戦に出場できる。
実際には今回のようにある程度強い者達は当たらないようになっているため、敗者復活はなかなかないのだが。
ちなみにリアンという者は四星級の魔法師、カミュールという者は五星級の剣士だ。カミュールに関しては女子だが剣を振るスピードはオレを上回っている。その上魔力量と天現融合を鑑みるのなら一年では唯一オレに匹敵する実力を持っているだろう。
「そういえばルーシュさんがお前のこと探してたぞ。生徒会にでも入れてもらうのか?」
「んなこたぁないだろ。一年の生徒会入りは序列戦以降しか認められてないんだ。まぁ探されてんなら会いに行くか、暇だし」
生徒会に入っていれば序列戦の予選はパスすることができる。いわゆるシード権というものだ。
それ以外にも様々な特権はあるようなので誰もが入りたがるのだが、その分忙しそうなのでオレはそこまで積極的ではない。むしろ勧められても断りたいくらいだ。




