表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第八章 天空都市
126/135

第125話 リア・ルミナス(2)

 雲のように真っ白な道、噴水、庭、家に……そしてそびえる巨大な城。天国と言うのだろうか、まるでこの世ではないような、幻想的な世界だった。


「はぁ〜……世の中は広いもんだな」


 空気が薄いのが気になるが、ここは上空何メートルほどだろうか。こんなところに住まう種族とは……。


(羨ましくもあるな。セリア、こういうのは昔からあったのか?)


(どうだろ。少なくとも私の時代には聞かなかったな。そもそも翼人っていう種族も……)


 知らないのか。10,000年で新しい種族は生まれるものか? その時代は地上と交流していなかっただけなのかも知れないが……考えても分からないか。


「おぉ、よくぞいらっしゃいました。魔法学園の皆さま。そして……シューレット様も」


 そう言って現れたのは高身長の……見るからに高貴そうな男。翼人だろうな。容姿は人間に近しいが、魔力は人間のそれではない。……おっと、思えばオレは、完全に魔力の質を見分けられるようになってるな。魔眼のおかげだろうか。


「お初にお目にかかる。私はシリアン=シューレット。あなたがギリテン殿か?」


「えぇ、まずは私達の王に会っていただきたく……ミルアルト様は……」


「あぁ、オレがミルアルトです。どうぞよろしく」


「おぉ、あなたが。よろしくお願いします」


 クラスの皆んなとは別れ、オレとシューレットさんはギリテンさんについて行った。どこまでも白い街並み、けれどどこか影も目立って見える。白と黒の……面白い雰囲気だな。


天空都市ここはどうして浮いてるんです? 浮遊魔法は珍しくもないでしょうが……これほどの規模となると、簡単なものではないでしょう」


「ふふ、えぇ。確かに魔法とは違います。その昔、『空中散遊スカイウォーク』という能力スキルを保持していた方がいたようです。その能力スキルを巨大な魔石に刻み、今もなお浮遊しているというわけです」


能力スキルを? それは無理な話でしょ。魔法ですら魔石に刻むのは至難だというのに……能力スキルなど聞いたことがない。仮に可能だとして、そのエネルギー源は魔石だけでは足りないでしょ」


能力スキルの魔力回路をコピーしているようです。ご存知の通り、能力スキルは魔法よりも魔力消費が少ないですから、魔素を取り入れることで回しているのだとか」


 ……いや、それこそ無理な話だ。そもそも魔力回路など完璧に認知できるものでなければ、魔素、つまり天然に存在する魔力というものは操ることはまず不可能、知覚するだけですら難しいというのに……。


 あぁ、不可能と割り切るのもやめた方がいいな。思えばオレは、そんなことができそうな人を知っている。


「詳しいことは、どうぞ国王にお聞きになってください。私より多くのことを知っていることでしょう」


「あぁ、ありがとうございます」


 気づけば到着したのは、巨大な門……いや、扉か。王室に続くその向こうには、大きな翼人の魔力を感じる。階級で言えば七星級といったところか。


 オレはシューレットさんに促されて扉を進んだ。堂々と正面に構えるのは、翼人の……天空都市の王と名乗るだけある威圧感の男だった。


「初めまして、私はリア・ルミナス。代々翼人の王を継承している、ルミナス家の者だ」


「“剣帝けんおう”シリアン=シューレットです」


「オレ……あぁ、私はグランデュース=ミルアルトです」


「ふふ、口調など気にするな。今は正式な場でもない」


 ……ならもう少し崩させてもらうか。案外、堅そうな方じゃなくて良かった。……良かったのかな?


「では、オレを呼んだ理由を聞いても?」


「あぁ、えーっと……アリス様のご意向でね。あの方の願いを聞かないわけにもいかないだろう」


「あぁ……師匠の」


 その一言で納得だ。ということは、天空都市を生み出したのは師匠なのだろうな。その王とは今も交流がつづいていると。恐らく、天空都市の始まりは神話の時代なのだろう。


「しかしまぁ、それだけというわけでもない。グランデュース家とは縁も深い。だからあなたとも話したかったのだ、シューレット殿」


「なるほど、確かにシリアン家はグランデュースの家系ですからね」


「……えっ、そうなんですか?」


「知らなかったのかい?」


 初耳だ。特に何の関係もない家だとばかり。確かに互いに剣を使う家ではあるが……へぇ、そう。じゃあカミュールとは遠い親戚だったりするわけだ。


「古代都市とは、古の時代、禁断の森と呼ばれる地に存在した遺跡のこと。かつての大魔王・ネフィル=エスト様がそれを空に運び、我々は古代都市の上に天空都市を築いた。それがここです」


「へぇ……」


「我々はエスト様に恩がある。あなた方、グランデュース家もそうでしょう?」


「あ! 禁断の森ってことはさ……」


「急に出てくるなって!」


 どうしてこうも、セリアは突然に実体化したがるのか。機密の存在だと言うのに……。


「あなた達、吸血鬼ヴァンパイアの末裔よね? ウラルスの子孫かしら?」


「えぇ、ウラルス・ルミナスは私の祖先。それを知っているということは、あなたは……」


「えぇ、ネフィル=セルセリア。ご存知かな?」


「もちろんですよ」


 はぁ……名乗っちゃうよな。そりゃそうだよな。……まぁいっか。もうどうでも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ