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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第八章 天空都市
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第120話 新たな法帝(2)

「はぁ〜! 久しぶりだなぁ!」


 この大きな校舎を見上げるのも、実に2ヶ月ぶりのことだった。うん、久しぶりと言うにはちょっと短いよ。それでもこの間、ずっとプリセリドに行ってたわけで、それを経て見る学舎はどこか感慨深いものがある。


「さて……」


 まずは校長に会いに行くかな。セリアもそこにいるだろうし。もっとも、彼女の方はオレが帰ったことに気づいているだろうが。


「1年特等クラス、グランデュース=ミルアルトです。校長先生、いらっしゃいますか?」


「おぉ! 帰ってきたか、ミルアルト君! 遠慮せず、入りたまえ」


 ……なんか、ちょっとテンション高いか? 記憶だとそんな仲ではなかったと思うが……まぁ別に変でもないか。


「お久しぶりです、校長先生。セリアも……」


「お帰り、ミラ! やっと私も開放されるよ……!」


「ははっ、すみませんね、セルセリア様。ただ我々は助かりましたよ」


 聞いたところによると、歴史的資料の確認の他にも歴史の破壊者(デスティニー)の魔力の残滓も追ってたのだとか。法帝達に引っ張りだこだったんだろうな。あとでスイーツでも食べさせてあげようか。


「積もる話もあるんだが……少し歴史の破壊者(デスティニー)について話しておきたいことがあってね……」


「何かあったんですか?」


「いや、この2ヶ月、驚くほどに動きがなくてな。そうではなく、これを見てくれ」


「ん……?」


 誰かの資料……あぁ、No.6のものか。イスダン迷宮で戦った……アイツのだな。魔力の解析でも終わったのか……? なんだ、これは……?


「リオ=ディーズレッド、20歳。去年の卒業生だよ。彼の魔力と細胞の組成が、君の殺したNo.6のものと90%以上合致した」


「なっ……えっ……?」


 人間……ということか? いや、アレは人工生命体ホムンクルスだって話だ。いや、しかし……それでも生きた生命ではあるが……だけど……。


「あ、いや、安心しなさい。ディーズレッド君は生きているし、歴史の破壊者(デスティニー)とも関わりはないようだ。つまり、彼の細胞か何かを採取して、それを元にクローンか何かを作ったのだろう」


 ……なるほど? ただこの写真はあまり似てないな。面影は確かにあるが……クローンと言われると違和感がある。恐らく、ルシファーが何かしらの力でクローンを作る際に別の情報が入り込んでいるのだろう。


「まぁ、現状分かっていることは少ないから、また追って連絡させてくれ。君もお疲れだろう?」


「ええ、まぁ。……あ、そうだ。エプシロンのことについて、ご存知ですか?」


「あぁ、華陽に出たという歴史の破壊者(デスティニー)の幹部だろう? 五番目の騎士だっけか。ベルドットに匹敵する戦力がそういくつも存在してもらっては……」


「死にました、彼。2ヶ月前に」


「……なんて?」


 困惑一色、まぁそうなるわな。あの景色を直接見たオレでさえ、そう簡単に受け入れられるものでもなかった。ただそうだな……師匠の立場上、オレはなんと言ったものか……。


「プリセリドの方に現れて、師匠が倒したんです。ただあの人、今の時代にはさほど干渉したくなさそうなので……」


「あぁ、ベルドットの師匠だね。怪物の師もまた怪物か。……分かった。今はとりあえずこれだけにしてくれ。腹一杯だ」


「分かりました」


 じゃあもうここにいる理由もないわけだ。セリアもいつの間にか幽体化しているようだし、とっととルーシュに会いに行こう。


「そうだ。しばらくぶりに学園ウチに帰って、君は何をするつもりだ?」


「……そうですね。まずは奪ってこようと思います。てっぺん」


「はっはっ! それはつまり、ジンリュー君を引き摺り下ろすというわけだね!? 良いじゃないか、随分な自信だ!」


 校長室の重い扉を背後に、今度は生徒会室に足を運んだ。正直、校長先生はさほど大きな存在に見えなかった。強い、強いが、今のオレなら、たぶん届かない相手でもない。……これが自惚れでなければいいが。


「久しぶり! グランデュース=ミルアルト、帰還しました!」


「おっ」


「ミラ! お帰り! 遅かったじゃん!」


「うおっ!」


 馬車のような力で飛び込んでくるルーシュを受け止めながら、視界は全体に広げた。久しぶりの雰囲気だな。軽く、そして賑わっている。まったく、今までどれほど異常な空間にいたのか叩きつけられてしまうな。


「めちゃめちゃ魔力増えてるな!」


「へへ、そうでしょ? ユリハ様が鍛えてくださってね、そりゃもう恐ろしい師匠だったよ。あとでいっぱいお話してあげる」


「そっか、ありがとう。でも今は……」


 堂々と座っている3つ上の青年。学年最強の男。校長を除けば彼を凌ぐ者などいなかろうが……。


「久しいな、ジンリュー。胸を貸してくれ。アンタに争奪戦を申し込む」


「ははっ、急だな。ただまぁ構わんよ。なんならそうだな……俺に勝ったら序列のみならず、法帝の座も譲ってやろう」


「……え?」

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