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神話の英雄譚/運命の逆賊  作者: わらびもち
第六章 華陽大帝国
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第100話 行けば分かる(2)

 五分か十分ほど急ぎ足で歩くとやや開けた空間に大きな石碑があり、そこにベルドットさんも待っていた。


「この石碑には魔王アミシアの感じた“黄金の魔力”について書かれているらしい。私には読めないけれど、星香さんが拘っていたのもこれが理由だろうね」


「ベルドットさんは心当たりがあるんでしょう? なんなんですか? “黄金の魔力”ってのは」


「……まぁそれはいずれ分かるよ。少なくとも今知ったところで何も変わらないからね。それより少し話をしようか」


「話……?」


 そう言いながらベルドットさんはどこからか椅子と机を取り出した。


 岩肌が剥き出しのこんな空間で椅子に座るなんてのは異様な光景だったがオレは大人しくそこに座った。たぶんツッコんだら負けだ。


「話というのは何かあったんですか?」


歴史の破壊者(デスティニー)、奴らの組織についてちょっと情報を得てね。番外は知ってるね?」


「ええ、名前は」


 イスダンでNo.6と戦ったときに聞いた名だ。番外には序列があると言っていたからNo.8などよりもずっと強いだろうと思われるから仮面の男、アルファがそうだろうと考えているが……


「ついこの間、番外と呼ばれる者と戦ってね。エプシロンと名乗っていたが、その戦いでこの傷を負ったんだ」


「!!」


 服を脱いだベルドットさんの背中には、大きく痛々しい生傷があった。まるで火傷のような、それでいて引っ掻き傷のようだった。


 彼にこれほどの傷を負わせられる存在がどれだけいるだろう。少なくともオレの知っている者にはいない気がする。


「生意気な子供のような男だったがね、多少の情報は得られたが恥ずかしながら取り逃してしまったよ。アレは強かった。正面から戦っても確実に勝てるとは思えないね」


「……多少の情報というのは?」


「まぁそれほど意味のあるものじゃないとは思うがね。番外の全容を知れたってところさ。まず最も強いのが君の遭遇したという仮面の男、アルファ。それに次ぐのがベータ、ガンマ、デルタ、そしてエプシロン。当然、彼らもルシファーに創り出された存在だ」


「……待ってください。つまりあなたに傷を負わせ、さらに逃げたヤツが五番目だと?」


「その通りだ。レイジから聞いていたけど、仮面の男が私と比べても化け物だと……あれは誇張でもなさそうだね」


 番外は全員九星級(ベルドットさん)に匹敵する上、No.8、つまり番外でなくても八星級(法帝)に匹敵する。加えてボスにルシファーがいるわけで、戦力では中央政府を圧倒的に凌駕している。


 アルファと会ってから常に疑問に思っていることだが、それほどの戦力を有していながらなぜ大々的に動かないのか。


 心当たりがあるとすればNo.8が言っていたという“王の準備”というものだが……それは考えても分からないか。


「私達の戦力ではとても敵う相手じゃないね。だから法帝でない君達にも強くなってもらわないと」


「なら一つお願いが……。良ければオレにベルドットさんの師匠を紹介していただけませんか?」


 オレはそう言って八雲を抜いた。獄境でベルドットさんと会ったときの約束だ。彼の一撃に対応できれば師匠を紹介してもらえると。


 セリアの教えもいいが、そればっかりではつまらないだろうと彼女から常日頃言われている。オレとしても色んな戦いたい方を学びたいとは思っているから……


「ほう……あれから一ヶ月か? ずいぶんと自信がついたようだね」


「若者の時間は長いんですよ」


「参ったな。私も若者なんだが……」


 ベルドットさんはそう言いながら長い槍を取り出した。オレは彼の魔力に押し潰されそうになった。殺意は一切感じない。それでもアルファを除く今まで相対してきた誰よりもずっと恐ろしく見えた。


 能力スキルを失った今のセリアよりも強いだろうということを肌で感じる。


「行くぞ……。よく見ろ……!」


「……ッ!!」


 彼はほんの一瞬の間に目の前に現れ、オレの腹に向かってその大きな槍を振った。


 刃は当てないように柄で攻撃してもらえたからよかったが、あまりの衝撃にオレは地下の壁に打ちつけられ、大きな穴を空けた。


 魔眼があったから辛うじて受け身を取れた。どう動けばいいかを知れたし、ベルドットさんの動きがほんの少しだけ遅く見えたから。


 それをもってもまだ遠い。見えないほどに彼の力は遠かった。


「驚いたな……これは。……師匠はプリセリドにいるよ。行けば分かるから深くは言わないけどね」


「……ん? いいんですか!?」


「もちろんだとも。元々対応できなくても目で追えればいいと言ったろう? こうもされるのは予想外だったけどね」


 彼はそう言って右腕を見せた。そこには八雲によってできた斬り傷があった。薄皮が斬れた程度ではあるが、オレの攻撃カウンターは届いていたようだ。


 もちろん真っ二つに斬るつもりで振ったから些か不服ではあるが、まぁ今はこれで良しとしよう。


 ……しかしプリセリドか。英雄の街と呼ばれるあの街には何度か行ったことがあるが……強そうな魔力を感じたことがあったかな?


 しかしあっちに行くなら家にも顔を見せようか。そうなると夏休みになるかな。


「なら今週末にでも向かおうと思います。……せめて容姿でも教えてもらえると……」


「いや、行けば分かるよ。見つけられなかったら諦めなさい」


 ベルドットさんは意地悪そうに微笑みながらそう言った。彼がここまで言うということは心配する必要もないんだろうが……


 少し不安に思いながらもオレは地上に向かった。今日はこの屋敷に泊まるから聖都に帰るのは明日になるかな。……帰りは星香が送ってくれるのかな?


 そうじゃなかったら相当の時間がかかるけれど……そのときはそのときか。一旦オレは屋敷に戻ってルーシュの部屋に向かった。

100話到達ありがとうございます!


プロローグを合わせると101話となりますが、まだまだ折り返しにもなりません。前編はもうすぐ終了となる感じですかね?


まだまだミラ達の冒険は終わりません! ぜひとも応援、よろしくお願いします!

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