表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/74

ささくれた夜

夜は、まだ早かった。

片町 のスクランブルには人がいた。

若い連中が多い。

店に入る前の顔だ。

タクシーには乗らないだろう。

俺は裏道を舐めて、ポライオへ戻る。

その途中、弥生からGOが鳴った。

広岡まで二千八百円。

客は嫌味な男だった。

会話の端々に棘がある。

早く終わらせたいと思ったのは、

この仕事で初めてだった。

降ろしたあと、

少しだけ気持ちがささくれた。

それでも街は動く。

ポライオでGOが鳴った。

片町へ千五百円。

行きつけのスナックひまわりのママ、リアンだった。

「今日は誕生日のお客さんがおるんよ」

そう言って笑いながら、

街の明かりの中へ消えていった。

街の灯りは、悪くなかった。

そのあと、アホな客に当たった。

急いでる、と言っていた。

片側二車線の右車線を走っている最中だった。

左車線にも車が流れている。

止まれる状況ではない。

それなのに、

勝手にドアを開けて降りやがった。

かなり危ない状況だった。

自分が轢かれる可能性もある。

ドアが閉まりきらなければ、

後続車を巻き込む。

GOPayだった。

会計は、もう終わっている。

思わず叫んだ。

「死ね」

言ったあと、

どうでもよくなった。

タクシーはそういう仕事だ。

客は選べない。

切り替えるしかない。

泉本町から片町。

片町一丁目から片町二丁目。

菊川から片町。

短い客を積みながら、

数字はゆっくり積み上がっていった。

二十三本。

外国人が少ない日だった。

Uberは、ほとんど鳴らない。

それでも、

街を回っていれば客はいる。

最後は帰社の途中だった。

新竪町 で手が上がる。

暁町まで千三百円。

降ろして、

今日の数字を頭の中で足す。

三万八千四百五十円。

目標には届かなかった。

全然、足りない。

エンジンを切る。

ささくれた夜は、

それでもちゃんと終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ