「437キロ。」
入庫、4時32分。
営業日報の紙を見て、しばらく黙った。
437キロ。
そんなに走ったか?
体感ではもっと短い。
もっと静かな一日だった気がする。
でも紙は嘘をつかない。
21時間。
片町と郊外を何往復したか分からん。
藤江、間明、神谷内、東長江。
行って、戻って、また出る。
削られながら、積んだ距離や。
61,000円。
80000円言うた男の数字じゃない。
悔しい。
それは間違いない。
でも今日は需要が無かったわけじゃない。
スクランブルは埋まっとった。
店も賑わっとった。
人はいた。
ただ——
タクシーも多かった。
信号待ちで横を見れば空車。
前にも空車。
後ろにも空車。
客はいる。
でも一瞬の差で持っていかれる。
今日はそういう削り合いの夜やった。
36本。
他は23本。
金額は教えてくれんかった。
でも本数は嘘をつかん。
爆発は無い。
ロングも無い。
それでも拾い続けた。
山はあった。
でも展開が向かんかった。
仕掛ける瞬間が来ない。
ロングが刺さらない。
脚は残っているのに、風が合わない。
それでも踏むしかない。
今日は止めなかった。
谷で寝た。
給油した。
位置を変えた。
最後は駅も触った。
鳴らなかったけどな。
目標には負けた。
それは事実や。
でも投げてない。
4時半まで走った。
21時間、ハンドルを握った。
その結果が
437キロ。
綺麗な距離じゃない。
爆発の距離でもない。
削り合いの距離や。
でもな、
これは俺の距離や。
寝るわ。




