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56/73

55

0時を回った瞬間も、街は何も変わらなかった。

信号は赤になり、

スクランブルには人が立っている。

スマホの日付だけが、2月22日を示していた。

55。

実感はない。

ハンドルを握ったまま、誕生日は通過した。

三連休初日。

人は多い。

タクシーも多い。

スクランブルには、50台はいたと思う。

地獄絵図やな、と呟く。

並ばなかった。

50分の1を、

わざわざ51分の1にする理由はない。

動いた。

それだけや。

昼は刻んだ。

夕方は駅へ流した。

夜前に三本続いた。

テルメ金沢、3,700円。

酔い過ぎた客は断った。

寝られる時は寝た。

焦らなかった。

本音は、30本いかんかもしれん、と思っていた。

それでも、口では35本と言った。

口に出した数字は、消えない。

街は、静かに吐き出しを始める。

二軒目の顔が、帰る顔に変わる。

お姉ちゃんが夜泣きうどんに入っていく。

店が終わったな、と思う。

爆発はない。

金沢や。

じわじわ減っていく。

だから、止まらない。

流す。

動いている車に、手が挙がる。

キララ前。

前のタクシーは日報を書いていたらしい。

目が合ったのは、俺やった。

鳴和台、2,400円。

メーターが、ひとつの線を越える。

3時を回る。

駅は静かだった。

当たり前や。

もう一度だけ片町を舐める。

未練じゃない。確認や。

3時40分。

GOが鳴った。

小坂町から片町、3,000円。

出来すぎや。

メーターを止める。

日報を書く。

売上は、53,100円。

本数は、30。

日付は、2月22日。

エンジンを切る。

街は、もう静かだった。

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