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発という思想
15時を過ぎてから、街を一周した。
兼六園。
東山。
近江町市場。
香林坊。
21世紀美術館。
空は青い。
観光客は多い。
でも、みんな歩いている。
笑いながら、写真を撮りながら、ゆっくりと。
人はいる。
賑わっている。
でも、タクシーは動かない。
歩ける日は、歩く。
それが普通や。
観光地の周りには待機タクシーがずらりと並んでいた。
人の列と、タクシーの列。
でも列は交わらない。
そこで思った。
発着。
タクシーにとって一番大事なのは、これや。
発の時間に、発の場所にいる。
発の時間に、着の場所で待っても意味はない。
夜の片町で、まだ開店すらしていないのに並んでいるタクシー。
チェックアウトが終わった後のホテル前。
発が生まれる前に待つか、
発が終わった後に待つか。
今日の朝は違った。
住宅地が薄いと読んでホテル帯へ。
ホテルが終われば会社予約へ。
昼は切って、夕方の発に備えた。
発を取りに行った。
だから逆転できた。
街を見ずに待機するのが嫌だった。
今、どこで何が始まり、何が終わったのか。
それを知らずにハンドルを握るのは、目を閉じて並ぶのと同じや。
空は青い。
こんな日は、発は弱い。
それでも、夕方には帰る人がいる。
仕事を終える人がいる。
発は、必ず生まれる。
その時間に、その場所にいるかどうか。
それだけや。
タクシーは、待つ仕事じゃない。
発を取りに行く仕事や。




