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鳴る夜に、いない
17時37分。
金沢市石引。
外は雨。3.5℃。
寒い。
画面には雪マークが並んでいる。
18時、19時、20時。
0.5ミリ。
1ミリ。
数字は小さい。
でも、わかる。
こういう夜は鳴る。
腹の奥がざわつく。
公休日。
走れない。
エンジンもかけられない。
GOもオンにできない。
片町の外縁。
南町の信号。
城北の前。
俺が座るはずだった席に、
今、誰かがいる。
悔しい、とは少し違う。
胸の奥が、熱い。
参加できない。
街が動く瞬間に、
俺はいない。
スマホを握る指に力が入る。
行けばいい。
一瞬、本気で思う。
でも行かない。
行かないと決めた自分と、
行きたい自分が、
胸の中で殴り合っている。
静かな部屋で。
明日の予報は、
今日ほどじゃない。
それも、わかっている。
だから余計に、
ざわつく。
公休日に、
雪マークで血が騒ぐ。
もう戻れん。
今日は走れない。
でも、
この夜は忘れない。
明日、
踏むための夜や。




