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銀色とロング

昼の弱い時間に、

上州屋 金沢金石店に寄った。

今年は五年ぶりにサクラマスを狙うと決めている。

西本さんに会う。

2月1日の九頭竜川の解禁。

初日に二本、二日目に二本。

「こんな年は、犀川も早いかもしれませんよ」

去年は当たり年で、

西本さんはシーズンで八本挙げたという。

八本。

その数字を聞きながら、

俺は川ではなく、街を思い出していた。

尾張町から小松空港まで走った、外国人の女性。

野々市から山中温泉かよう亭までの、外国人二人。

どちらも偶然だった。

読めていたわけじゃない。

狙い撃ったわけでもない。

ただ、その場所に居ただけだ。

サクラマスも同じだと思った。

掛かる瞬間は偶然だ。

だが、本流に立っていなければ、

その偶然は起きない。

最初のシーズンは三本。

二年目は二本。

寒くても立っていた。

反応がなくても投げ続けた。

三年目から、変わった。

ほんの少し投げて、

何も起きなければ移動した。

「今日はダメやな」と決めつけて、

上流に行った。

ヤマメは簡単に釣れた。

イワナも出た。

釣れない気持ちは、少しだけ軽くなった。

でも、サクラマスは一度も掛からなかった。

三年連続、0本。

寒さのせいにした。

水のせいにした。

魚が少ない年だと言い聞かせた。

本当は違う。

俺が本流に立っていなかっただけだ。

一万円を超えるロングは、

生活を少し楽にする。

六十センチの銀色は、

心を満たす。

サクラマスも釣りたい。

ロングも取りたい。

どちらも滅多に来ない。

だからこそ欲しい。

犀川の解禁は3月1日。

今日は、2月12日。

まだ水は冷たい。

まだ何も始まっていない。

それでも今年は、上流には逃げない。

解禁の朝、

俺は本流に立つ。

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