爆発の来ない街
22:00。
割増は始まっている。
それでも、
寒くない夜と小雨は、
人を歩かせる。
街は、吐き出さない。
今日は取り切るつもりだった。
数字も、残り時間も分かった上で、
それでも行くと決めていた。
0時を回っても、
一斉には出ない。
2月11日、建国記念日。
日付だけが祝日に変わる。
街は、変わらない。
0時台は、結局1本だけだった。
メーターより、
時計の分針のほうが気になる。
時間だけが、確実に減っていく。
店の中では、きっとこんな会話がある。
「そろそろ帰ろうかな」
「明日休みでしょ、まだいいじゃない」
その一言で、
俺の一本が消える。
1:23。
片町から高畠へ。2200円。
まだある、と自分に言い聞かせる。
1:40台。
増泉から片町へ1200円。
木倉町から武蔵へ1600円。
悪くない。
だが、足りない。
中央で当たる。
外では当たらない。
理屈を組み替え、半径を刻み、
戻り、また戻る。
2:00。
閉店時間の店が多いはずだ。
ここからだ、と期待する。
だが2:00ちょうどには出てこない。
会計。
片付け。
着替え。
街はゆっくり呼吸している。
2:09。
鳴らない。
手も挙がらない。
スクランブルの人影は減り、
待機タクシーも減っていく。
終わったか。
いや、まだだ。
中央を抜け、
一本裏へ入り、
また中央へ戻る。
爆発は来ない。
一斉にもならない。
点でしか吐かない街。
ゼロではない。
だが、足りない。
今日は勝ちたい。
ただそれだけなのに。
寒くない夜。
小雨。
歩ける距離。
祝日に入った街は静かで、
俺だけが急いでいる。
それでも俺は、
最後の一本を探して、
走り続けている。




