昼の街は嘘をつく
昼の街は、いちばん嘘をつく。
動きそうで動かず、鳴りそうで鳴らない。
だからこの時間、俺は信号よりも“気配”を信じる。
12時すぎ、御供田本社。
GO搭載車が群れを成して、獲物を待っている。
洗車を終え、給油を済ませた瞬間、俺は決めた。
――ここには用はない。
出た途端、GOが鳴る。
まるで「行くな」と引き止めるみたいに。
戸水から進和町、2,800円。
昼の時間にしては、悪くない。
いや、正直に言えば“かなり良い”。
進和町で降ろし、駅西本町へ。
中央卸市場に頭を向けて車を止める。
今日は、無理をしない日だ。
小さな波は捨てる。
大きな波のために、寝る。
間明のなか卯で飯を食い、
駐車場でGOをオンにしたまま、目を閉じる。
エンジン音と遠くの生活音が、子守唄になる。
13時47分、GOが鳴る。
新神田まで1,500円。
小波だが、必要な分だけ拾う。
降ろした後、また静かな場所へ戻る。
14時過ぎ。
GOアプリを見ると、300メートル圏内に7台。
密集地帯。
ここで動いたら負けだと、体が知っている。
もう一度、目を閉じようとした瞬間――
14時20分。
GOが鳴る。
北町で乗せ、藤江南まで1,300円。
寝かけたドライバーを、街がそっと起こした。
そして、ゆめのゆ。
富士タクシーの待機場は1/3。
俺が先頭だ。
ここからの客は期待できない。
それでもいい。
GOが鳴るかもしれない。
鳴らないかもしれない。
だが今の俺は、
「待つ」という選択を、自分で選んでいる。
昼下がりの街は静かだ。
だが、静けさの底で、
次の一手は、確実に形を作っている。
――しばらく、待機




