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昼と夕方のあいだ
14:34。
一日の真ん中を、少しだけ過ぎた時間。
菊川のポライオは定休日で、
俺は駐車場を待機場代わりにして、仮眠していた。
GOが鳴る。
情報を確認する。涌波から、十代。
こんな中途半端な時間に、
十代がタクシーを使う。
朝でもなく、夜でもない。
一瞬だけ、理由を探す。
後部座席に座ったのは、
まだ十代の男の子だった。
足をかばう仕草を見て、すぐに分かった。
通院だと言った。
金沢学院大学のサッカー部。
神奈川から来たらしい。
言葉は多くない。
でも、受け答えが丁寧で、
視線が、まっすぐだった。
――ああ、
本気で何かをやってきた子やな。
偏見かもしれない。
でも、
本気でスポーツをやってきた人間の目は、
だいたい同じ匂いがする。
昼と夕方のあいだの光が、
フロントガラスに滲んでいた。
「早く治るといいですね」
そう言うと、
少しだけ、照れたように笑った。
降ろす頃には、
メーターの数字は、もうどうでもよくなっていた。
この仕事は、
一日の真ん中に、
ときどき、
こういう人を挟んでくる。
だから、
油断できないし、
やめられない。




