21/73
雪の朝(前半戦) ――静かな流れ――
6時を少し回った頃。
雪の朝だった。
最初の一本は、大学までの短い距離。
街はまだ静かで、
今日は穏やかに始まる――
そう思った。
だが、降ろした直後、
ほとんど間を置かずにGOが鳴る。
白山方面。
外国人の客だった。
車を走らせながら、
メーターの上がり方を横目で見る。
――今日は、そういう流れか。
雪の平日。
動く人は少ない。
だが、動く理由を持った人は、迷わない。
だから呼ばれる。
中心へ戻る途中、また声がかかる。
病院。
駅。
待機場のど真ん中じゃない。
一段、外れた場所ばかりだ。
張っていないのに、
探してもいないのに、
ちょうどそこにいる。
駅に入ると、列は短かった。
少し待つだけで順番が回り、
また街へ戻る。
橋を渡り、
古い町を抜け、
官庁街をかすめる。
一本一本は軽い。
だが、流れは切れない。
「今日は、まだ始まっていないな」
そんな感覚のまま、
気づけば時計は15時を指そうとしていた。
街は本調子じゃない。
それでも、
必要な分だけ、確実に呼ばれている。
――これは、前半戦だ。




