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非凡な夜

街が返事をし始めたのは、

まだ空が完全に暗くなる前だった。

昭和町から石引。

三口新町から片町。

理由なんてない。

ただ、ハンドルの先に「そうしろ」と書いてあった。

片町は、まだ溜めている最中だった。

人は多い。

だが、動かない。

獲物が泳ぎ出す前の、水面みたいな時間。

一月二十四日。

フォーラスは、翌二十五日が最終日のバーゲンで、

街はすでにその熱を帯びていた。

フォーラスへ向かう。

行こうとした、その瞬間にGOが鳴る。

ホテル野々。

思い通りには行かないもんだ。

野々から片町。

それもまた良い。

俺の知らない行き先を、街は先に知っている。

再びフォーラスに戻る。

焦らない。

取る。

切る。

待つ。

波は、確実に静まり始めていた。

菊川。

ポライオ。

アイスコーヒーを頼む。

辰郎には、

「鳴るかもしれない。車で飲むから持ってきてくれ」

それだけ伝えた。

持ってきてくれたコーヒーを一気に飲み干し、

十分のタイマーをかけて目を閉じる。

……五分で起こされた。

すると街は、

「まだ終わってないぞ」とでも言うように、

軽い金額を差し出してくる。

GOが鳴る。

新竪町から寺町。

千百円。

合図としては、十分だった。

夜は深くなり、

人は店の中へ消えた。

大きなホテルは、もう完結している。

バーも、和も、洋も、中もある。

雪の夜。

外へ出る理由がない。

だから鳴るのは、

野々や、雨庵みたいなホテルだ。

中途半端な距離。

歩くには遠く、

タクシーにはちょうどいい。

眠くなったら、寝る。

五十メーター道路の裏で、十分。

目を開けたとき、

街の音は、またはっきりしていた。

四十万。

広岡。

幸町。

そして、

二十三時四十分。

野々市下林の寿司屋。

外国人が二人。

行き先、山中温泉・かよう亭。

メーターは跳ね、

距離は伸び、

街は何も言わない。

これは、

追いかけた結果じゃない。

残っていた者にだけ、

静かに手渡された一本だ。

降ろしたあと、

眠気は猛烈だった。

時間は〇時五十二分。

土曜日の夜。

本当の始まりは、きっとこれからだ。

眠るわけにはいかない。

片町は、

ためていたものを放出する時間に入っていた。

俺は、

身体と心に鞭を入れ、

もう一度、片町へと向かった。

右か左か。

それだけの話だ。

そして今日は、

右折の先に、ちゃんと客がいた。

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― 新着の感想 ―
一方、その頃私は、片町から歩いて帰っていた… 慌ただしく雪降る静かな夜道を タクシー居たんだ…
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