表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/23

第三話

 基地内の施設を巡りながら、アリアはセラの背中を追っていた。

 無機質むきしつな廊下に、時折ときおり混じる機械油の匂い。やがて視界が開けると、そこには熱気と喧騒に満ちた巨大な空間――食堂が広がっていた。

「ここが食堂。食券を買って、あっちのカウンターで渡すのよ」

「凄く広いですね……。それに、人もたくさん……」

 圧倒されるアリアを余所に、セラは手慣れた動作でパネルを操作する。

「サロンには簡易的なキッチンしかないから。自炊ができない連中は、死ぬまでここで飼い慣らされるってわけ」

 冗談とも本気ともつかない口調でセラがランチを促す。アリアは迷った末、一番上にあった『本日のB定食』のボタンを押した。

 カウンターで食券を渡し、料理が出来上がるのを待つ数分間。

「食事が済んだら、次はメカニック部隊が管理する兵器庫へいきこへ行くわ。あそこは精密機器せいみつききかたまりだから、余計なところには触らないように」

「は、はい……。兵器庫には、あの『魔導甲冑マナ・アーマー』もあるんですよね?」

「そうね。うちの主力兵器よ。……それがどうかした?」

 セラの横顔を伺いながら、アリアは兄の顔を思い出しながら、つい口にしていた。

「いえ……その、事故とかあったら怖いなって、少し思っちゃって……」

 ピクリ、と。

 セラの肩がわずかに跳ねた。

 先ほどまで淡々と説明を続けていた彼女の口が、不自然なほど固く結ばれる。

「……そうね。事故は、怖いわね」

 低く、地を這うような声。

 セラはそれ以上何も言わず、差し出されたトレイをひったくるように受け取ると、足早に席へと向かってしまった。アリアもソッとトレイを受け取ると、小さく肩を落として後に続いた。

 重苦しい沈黙が二人の間に流れる。

 アリアがぎこちなくフォークを手に取った、その時だった。

「ねぇねぇ、ここ座っていいかな!?どこもいっぱいでさー!」

 弾けるような明るい声。

 顔を上げると、そこにはアリアと同じくらいの年頃の少女が立っていた。オレンジ色の作業つなぎを腰で結び、顔に少し汚れをつけた少女は、返事も待たずにアリアの隣に滑り込む。

「もしかして新人さん?私も今日からなんだよね!私、ミナ・ロウ!メカニック部隊所属、よろしくね!」

「あ、えっと……。灰翼中隊に配属された、アリア・フィオルです。よ、よろしく……」

 嵐のような勢いに目を白黒させるアリア。その隣で、セラが冷めた瞳でミナを眺めた。

「メカニック部隊……。ちょうどいいじゃない」

「え?何がです?」

 ミナが首を傾げると、セラは食事の手を止めずに言い放った。

「私はセラ・アルミナ。この子の班の班長よ。今から兵器庫を案内する予定だったんだけど……面倒になったわ。同じ新人同士、あんたが案内してやりなさい」

「えぇっ!?いいんですか、私にそんな大役!」

「いいわよ、誰が案内しても同じなんだから。」

 間に挟まれたアリアが「あの、班長……?」とおろおろする間も無く、ミナは「やったぁ、友達できた!」と満面の笑みでアリアの肩を組んでくる。

 少しだけ強引な新しい友人の登場に、アリアの緊張は、戸惑いという別の感情に塗り替えられていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ