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プロローグ

「ハァ……ハァ……」

 肺が焼けつくようだ。心臓が妙に大きく脈打ち、浅い呼吸が止まらない。夏の夜の生ぬるい空気が、喉にまとわりついて息苦しい。

 これでよかった。これで、いいんだ。

 そう自分に言い聞かせるたびに、胃の腑が痛む。頭の中が罪悪感で蝕まれていく。テレビで見るような、道を外れた者たちは皆、こんな夜を知っているのだろうか。それとも、これは、ただ俺の心が弱いだけなのか。

 どちらでもいい。もう後戻りはできないのだから。

 息を殺して歩いた。月明かりが、やけに自分の姿を照らし出すようで恐ろしかった。

 あの場所から離れるとき、微かに聞こえた物音は、きっと気のせいだ。そうに違いない。

 ベッドに潜り込んでも、安らぎは遠かった。とても眠る気分ではない。夜はどこまでも静かだった。自分の荒い吐息だけが、やけに大きく耳につく。ただ布団の中で息を潜める。それくらいしか、今の自分にできることはなかった。

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