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ちびっこ達と約束をする

 せっかく出てきてしまった訳だし、味噌は買っておいても損はしないだろうから。味噌を買ってから帰る。でも涼は絶対に帰す。

 同じ道を使って、スーパーの手前にある公園を通り過ぎた。


「あっ、けーちゃんだぁ!」


 公園で遊んでいたちびっこ三人が、俺に気づいて近寄ってくる。男の子二人に、女の子一人。俺は三人の頭を順番に撫でた。近所に住んでいる子達だ。

 以前良牙がこの子達のお母さん方に手を出そうとして警察沙汰になった事件があって……思い出したくないなぁ。とりあえず、前に遊んであげたらなつかれた。わりと子供には好かれる自信がある。精神年齢が同じだから、なんて事はない。と思いたいんだけど。


「けーちゃん遊ぼお」


 腕を左右に振りながら喋る、ツインテールの女の子。みーちゃんだ。夢見がちな所もあるおしゃまさん。

 俺は首を左右に振った。


「今涼が待ってるからダメ」

「誰だよ、涼って」


 そう聞いたのは見るからにヤンチャっ子のたっくん。半袖短パンのショタ。夏にはよくカブトムシを採りに行くタイプの子だ。


「良牙の妹でね、今遊びに来てるから」

「ふーん、じゃあ明日なら遊べんのか?」

「どうだろ、追い返すのに時間がかかるかもしれない」

「追い返す……?」

「一緒に住むとか言ってるんだよ」


 よく考えたら子供に聞かせる話でもなかったかも。

 まぁ手遅れだ。

 子供達は表情を固まらせ、三人で向き合った。三人の中で一番高そうな服を着ているふーくんが、みーちゃんとたっくんに質問をかける。


「一緒に住むのって家族だからじゃないのかなぁ?」

「大きくなると恋人同士でも住むようになるって母ちゃん言ってたぞ」

「じゃ、じゃあ、けーちゃんの彼女が、良牙君の妹さんって事?」

「けーちゃん優しいから彼女出来るのはおかしくないけど、良牙君の妹って大丈夫かなぁ」

「ダメだろ。だってあの良牙だぞ。嫌がってる母ちゃん達にベタベタしておまわりさんに怒られてたじゃん」

「じゃっ、じゃあ、けーちゃん良牙君の妹に騙されてるんじゃ」


 内緒話のつもりなんだろうけど、声量は大きめだ。普通に聞こえている。そしてやはり良牙の信頼は全く無い。

 結論が出たのか、三人は俺の方を向いた。


「けー、明日ソイツ連れて来い!」

「涼を?」

「そうだ。どうせ暇だろ」


 俺は涼を帰させる事が出来れば暇だし。涼もまぁ、うちに来るって言ってるくらいなんだから暇だろう。家に帰したとしても子供達と遊びにくらいは来てくれるかも。


「うん。じゃあ涼が良いって言ったら遊ぼうね」

「遊ぶんじゃない、確かめるんだ」

「何を」

「ソイツが悪い奴かどうかをだ!」

「悪い奴じゃないよ。確かに良牙の妹ってだけで、最初は疑わしかったけど。掃除してくれるし、おいしいご飯を作ってくれるからね」

「もしかしたらご飯に毒を入れてるかもしれないだろ、けーが気づいてないだけで!」


 俺が気づいていないという可能性はあるかもしれないが、涼はそんなに器用じゃないと思うんだけどな。

 とりあえず約束はしておいても大丈夫だろう。


「そんな事してないと思うけど、明日連れてくるね」

「明日お昼食べたらだぞ、絶対だからな!」

「うん」


 これだけ心配されてるんだから、俺は結構な幸せ者だと思う。

 逆に悪いと思われてるのは良牙だ。日頃の行いのせいだな。

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