隊長 少年 戦
色々言わないといけない事が・・・。
後書きで・・・。
「燃やせ!ここら一帯焼け野原にするぞ!!」
鎧を着た男が、【森】を指しながら部下達に命令する。
部下達は火炎放射気の様な物で【森】を焼いている。
「急げ!時間は無いぞ!」
【森】の中に砲弾を打ち込む。【森】の中に存在する生き物を殺す為である。
「隊長・・・この様な作戦意味があるのでしょうか?」
赤い鎧を身に纏う女が、もう一人の赤い鎧を着た者に尋ねる。
赤い鎧。この場に居る兵士は全て銀色の鎧を身に纏っているが、この二人だけ赤い鎧を身に纏っている。
「命令だからな・・・」
もう一人の女は顔を見せているから女だと解るが、隊長と呼ばれる者は顔が見えず、性別が解らない。がだ、声からして女ではないだろうか。
「ですが・・・こんな作戦に意味があるとは思えません」
女の顔には、この作戦への不満が溜まっている様に見える。
「素直過ぎるぞ・・・」
隊長と呼ばれる者が、注意をする。
「すいま・・・・あれは!?」
謝ろうとした時、【森】の中から人が出てきた。
あの姿・・・『黒き鎌使い』
「おいおい・・・何だこれは?こんな作戦聞かされてないのだが?」
『黒き鎌使い』が辺りを見渡しながら言う。だが、表情は微笑んでいた。
「貴様・・生きていたのか」
この部隊の実質隊長である男が、舌打ちをしながら『黒き鎌使い』に言った。
「まるで死んで欲しかったと言っている様に聞こえるが?」
『黒き鎌使い』に睨まれ、男は言葉を無くすが、強気に喋る。
「それで、危険分子は殺したのか?」
そう男が言うと、『黒き鎌使い』は笑った。
「危険分子?そんなのが本当に居ると思うのか?」
腹を抱えながら笑う『黒き鎌使い』に対し、男は剣を向けた。
「・・・・やはり・・・私も殺す気か・・・」
男は頬をつり上げ笑った。
「貴様も殺す。それがもう一つの作戦なんだとよ。俺もさっき、あそこに居る紅蓮の騎士様に聞いたんだ」
男はそう言い、私を見た。
気色の悪い顔を私に向けるな・・・。内心苛立っていた。
こんな所に自分が居る事が。
「それじゃー死んでもらうか」
男は『黒き鎌使い』に対し、剣を振り上げようとした時、『黒き鎌使い』は笑った。
「ふふっ・・・はっはははははっ!!!!」
その笑いは、まるで狂ったように壊れたように笑っていた。
「・・・イカレたか?」
男が気色の悪い笑みを浮かべたまま、問う。
すると、『黒き鎌使い』は瞬時に右手に黒い鎌を作り、男の首を刎ねた。
「なっ!!」
「貴様!!」
「ひぁああああ!!」
驚く者、すぐさま剣を抜く者、腰を抜かし悲鳴を上げる者。様々だ。
「ふふ・・・殺されるのは・・・お前等だよ」
そう言い、『黒き鎌使い』は走り出し、近い兵士の首を次々と刎ねて行く。
「これが・・・黒き鎌使いか・・・」
私は内心喜んでいた。あんな糞男に殺される者では無い事が解り。喜んだ。
女が男に支配される時は終わったのだ。女は男より強くなれる事を、今ここで皆に知らしめる事が出来るような、そんな気がし喜んだ。
「クソッ!!強過ぎる!!」
兵士達の首が次々と刎ねられて行く。
「キャリン!!我々も行くぞ!!!」
隣で、唖然とこの様子を見る部下に言う。
私の言葉を聞き、キャリンはハッとした様な顔をし、私の後に続き『黒き鎌使い』へ走り出した。
「貴様等!!敵は一人だ!怖気づくとは、不抜け共!!!」
私は走りながら怖気付く兵士達に活を入れる。
「う、うおぉぉぉぉぉ!!!」
兵士達に少し活が入る。だが、それもまた一瞬で消しさる。
「ぐわっ!」
「な、なんだこいつはああああぁぁぁぁぁ!!!」
声がする方を見る。すると、黒い影かこちらに向かって走って来るのが解る。
「あれは・・・?」
人間。しかも少年だ。
その少年は、短剣一本でこの場に突っ込んで来る。
しかも、その少年を次々と兵士をなぎ倒し、こちらへ猛スピードど走って来る。
「何だあの少年は?」
すると、少年はいきなり止まり、口笛を吹いた。すると、【森】の中から大量の狼が飛び出してきた。
『貴様等俗物は、ここで我々の餌にしてくれる!!!』
狼が喋った・・・。
「ゴーストウルフか!?」
文献や噂では知っていたが、まさか本物が居ようとは・・・。
だが、このタイミングでの登場。まさか『黒き鎌使い』の仲間なのか?
『野郎共!!ここに居る人間一人残らず食い千切れ!!!』
ゴーストウルフの声を聞き、他の狼達が一斉に兵士達に襲いかかる。
数ではこちらが勝っていると思ったが、今の状況じゃ数は意味をなさない。
「クソっ!」
狼達は、凄いスピードで兵士達に襲いかかる。
『おい!女!邪魔だ!』
ゴーストウルフが『黒き鎌使い』に対し毒を吐く。
「黙れ狼。貴様も殺るぞ?」
仲間ではないのか?けれども他の狼がこの女を襲わない所から見ても、仲間と見て間違いないだろう・・。
では・・・あの少年は?
少年は凄いスピードで此方に来る。
少年は私に短剣を投げつけた。
凄いスピード・・・。私はそれを辛うじてかわす。
「貴様!レディア隊長に!」
私の前にキャリンが立つ。
キャリンは自身の槍を少年に向かって突く。だが、少年は走りながら姿勢を低くし、その槍の下を走る。
「なっ!」
少年はキャリンの腕を掴み。横に投げる。軽々と。女だとは言い、鎧を着ている為かなり重い筈だが、少年は片腕で投げ飛ばす。
「きゃあああああ」
キャリンは宙に舞い、そして地面に叩きつけられた。
少年は地面に刺さっていた剣を抜き、すぐさま此方に向かって走って来る。
「私と殺る気か?面白い」
私も少年に向かって走り出した。
先に私が剣を真横に振り、少年の首を狙う。だが、少年は上体を反らし、それをかわした。そして、少年は身体を反らした状態から、私の顔めがけて蹴りを入れてきた。
「クッ!」
片腕で防いだが、何て威力だ。身体が浮く。
「調子に乗るなああああ!!!」
私は少年に向かって走り、剣を上、下、右と振る。だが、その全てを少年は紙一重でかわす。
「クソッ!」
仕方ない。こんな所で使う気は無かったが。
私は腰に手を回し、短剣を取り出し、刃っ先を少年に向けた。
「貫け」
短剣の刃っ先から風の槍の様なモノが飛び出し、少年を貫く。
少年は衝撃に耐えられず、後ろに吹っ飛ぶ。そしてそのまま地面に倒れる。
『セン!!』
ゴーストウルフが叫ぶ。
やはり仲間だったか・・・。
だが、これを食らって生きている筈は・・・・。
「な・・・」
目の前の光景が信じられなかった。
「何故・・・立っている?生きて・・・いる?」
確実に風の槍はこの少年を貫いた筈だった。けれども、少年の服は破けてはいるが、無傷に近い状態で私の前に立っている。
「甘いな」
少年が呟く。その言葉に私は言葉を無くした。
なんだ・・・なんなんだこの少年は?
「お前は・・・何者だ?」
私の声は震えていた。恐怖なのか解らない感情が私を襲う。
少年は一度口から流れる血を舌で舐め、呟く。
「次は・・・こっちの番だな・・・」
そう言い、少年は自身の首にかかっているネックレスを握り、何かを呟きだした。
『ダメだ、セン!!ここで使うな!!』
ゴーストウルフが叫ぶ。だが、少年は呟き続けている。
「森の力よ・・・我と共に・・・」
すると、少年が私の視界から消えた。
「なっ!?」
消えた?何だどこに?
「こっちだ」
後ろから声が。
私は瞬時に振り向いたが、少し遅かった。
少年は腕を振り、その手が私の兜に触れ、兜が宙に跳ぶ。
「クッ・・・」
すると、少年は驚いた様な顔をした。
私は体勢を立て直す為、一度少年から離れる。だが、少年は動こうとしない。
「何だ・・・?」
すると、少年は辺りを見渡し、口笛を吹いた。それを聞いたゴーストウルフが叫ぶ。
『野郎共!引き揚げるぞ!!』
狼達はすぐさま【森】に帰って行く。
「な、なんの真似だ!?」
私は剣を構えながら少年に問う。
すると、少年は柔らかい笑顔を見せ、言った。
「ここは、アンタ見たいのが戦う場面じゃない」
そう言い、少年も【森】の中に消える。
いつの間にか『黒き鎌使い』の姿も無かった。
私は辺りを見渡す・・・。
そして、キャリンに走り寄り、生きているか確かめる。
「良かった・・・」
息はある。
もう一度辺りを見渡す・・・。
全滅に近いだろう。生きている者は数名。100近く居た兵士が・・・ここまで。
だが、もしかしたら私もここに転がる死人の一人になっていたかもしれない。
あの少年が戦うのを止めたから。
何だったんだ・・・。あの少年は・・・。
安心感と疑問に、頭は疲れ切っていた。
戦闘シーンがいくら書いても慣れない。
てか、謝らないと。
途中から何故か紅蓮の隊長さん視点に。
そして、戦闘の薄さ・・・。
駄目だな~。
この話の詳しい事は次ぎに解ります。
何でメアとセン達が共闘してるのかとか、何でセンがいきなり強くなったのか、何でセンが攻撃をやめたのか。
全ては次か、次です。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
次でもよろしくです・・・。




