エピローグ2
そして午後のギルド活動の時間。
今回の一件についてメイ先生から報告をするように言われていたんだけど、どうしてMCSの秘密基地じゃないんだろう?
しかも隣にはカイザーもいる。
「なんじゃ、ワシが学園長室におったら可笑しいかえ?」
目の前にはフェイリア、容姿だけは十一歳のボクと同じくらいの女の子なんだけど、それにはワケがあって実際は六十歳を越えている…………って、そうじゃなくて。
「ドラゴシャークの一件は、元をたどればエスカレアの、ワシの責任でもあるのじゃ」
「ふぇっ!?」
「マジかよおい!」
このエスカレア特別区では何十年も前から、『ソードシステム』という魔法が暴走しないための安全装置みたいなものが全土に展開されている。
つい最近まで、不完全なまま運用されていたんだけどね。
「少しずつ溢れた魔力の余りが漏れ出して、魔脈を伝って特定の箇所に蓄積したことで悪さをしたってことじゃ。有り体に言えばのう」
難しい単語がたくさん出てきたけど何となく理解はできる。ソードシステムの根源はフェイリア自身なんだから、責任と表現したんだ。
「今は完全なソードシステムが構築されておる。もうドラゴシャークに怯える必要はないじゃろう。しかし遊牧の民たち…………カイザー、いやフリック・スタインよ。すまぬ、そなたには悪いことをしてしまったな」
「すべて終わったっていうのならそれでいい。済んだことだしな」
家出をして身寄りのないカイザーがウィキスタ術科学校に入学できたり、マジェニア学園に転入できたり。問題を起こしても穏便に取り計らわれたのはフェイリアの、ひいてはフェイラー学園長の後ろ盾があったからだった。
ボクなんてエスカレア特別区では未だに人権なんてないのになぁ。
ひとしきり報告を終えて学園長室を出るとカイザーはナイトギルドへ向かった。姿が完全に見えなくなるとメイ先生が念を押して尋ねてきた。
「アクアマリンだぜアクアマリン。せめてポケットにぶち込めるだけ持ち帰ってくれりゃーよかったのによー」
「近づくだけでも危険なドラゴシャークだよ。どんな毒が残ってるかわからないし」
「わりーわりー。でもレナを連れていって正解だっただろ。それにアクアマリンに戻った時点で毒は消えてるはずなんだがなー」
「カイザーにとっては思い入れのある土地だったからね。目の色変えて拾い集めるのも悪いなって思ったんだ」
「墓荒らしみてーになるもんなー。事情が事情だ、むしろよく気を利かせられたな。こればっかりは仕方ねー」
「褒められると嬉しいんだけど…………本音は?」
「エスカレア特別区直轄の超高難易度クエストだぜ。報酬だけでもウハウハよ」
相変わらずの清々しい素直さは、一点の曇りもなくボクの心を癒してくれる。うん、きっとそうだ。そう思いたい。
「ひとつ気になってたんだけど、トリートってどうなったの? 実家の、ブレナード邸には戻ってなかったっていうし、建国祭だって」
「それについてもバッチリだぜ。ついてきな」




