アニメ化した頭が悪くなるラノベ
「ないよ!ないよ!ないよ!ないよ!私のブラジャーがないよ!お兄ちゃん、萌菜華のお気に入りのブラジャー見なかった?」
俺の妹萌菜華は最近ものをよく失くす。
「お前が風呂に入ってる間に、洗濯機に入れたかもしれん。」
タオルを巻いた妹の見慣れた姿を横目に、脱水の終わった洗濯物を洗濯機から一枚一枚取り出す。
一枚一枚、乾燥機(洗濯機と乾燥機が別々なのは不便だから高級なやつを買えと親父に申請したばかり)に移動してみたが、、萌菜華のお気に入りのブラジャーらしきものは見当たらない。
「お兄ちゃんの部屋にあるんじゃないの〜?」
「お前さ、人を疑う前に自分の部屋の掃除をしろ。お前最近だらしないぞ。」
兄らしく指導したつもりだったが、どういうわけだか、萌菜華のくすんだピンクのブラジャーは洗濯ネットに入った状態で俺の枕カバーの中から見つかった。
「お兄ちゃん最低!!」萌菜華のグーパンチが俺の右頬に飛んでくる。
「ありえねえええええええええええええええええええええええ」俺は絶叫した。
俺には妹のブラジャーを自分の部屋に持ち込む趣味はない。
「お前ちょっとこれ見ろよ。お前のブラジャー、まだ濡れてるぞ。これは、あれだ。オカルト雑誌で読んだ、サイコキネシスというやつだ。このブラジャーと洗濯ネットはここではない次元を通って洗濯機からここに移動したとしか思えない。」
「お兄ちゃんが途中で洗濯機を止めて取り出したんでしょ!!」萌菜華の怒りは収まらない。
「俺が洗濯機を途中で開けることはエラーが出たとき以外、ほぼないぞ。」俺は言い返す。
「お母さん!お兄ちゃんが私のブラジャーを自分の部屋に持ち込んでたぁ〜」萌菜華は涙声で母親に言いつける。
そして夜、父親の帰りを待ち、家族会議が始まった。
「あなたから始めて。」母親が言うと
「はぁ〜っ、俺こういうの苦手・・・。」と父親がため息をついた。
「じゃあ私からいい?お兄ちゃんが最低なので、今後お兄ちゃんのお小遣いも私に下さい。以上。」
「じゃあそれでいいかしらね。」と母親が言う。
「それで、いいんじゃないかな。」と父親が同意する。
「やってられるか!」俺が両手をテーブルにつき立ちあがろうとした瞬間、ピンポーンとドアが鳴った。
こんな時間に誰だろう?もう時刻は21時を過ぎている。
「あの〜、これ萌菜華ちゃんのだよね?僕のバイクのシート下に入ってたんだけど、誰のいたずらかな?」
となりの家のお兄さんが洗濯ネットに入った萌菜華のパンティを持って来た。色はくすんだピンク。ブラジャーと同じ。隣のお兄さんは、最初から萌菜華のいたずらを疑ってかかっていた。ざまあみろ。
「となりの家のお兄さん!もう私お嫁に行けないよ!!」
萌菜華は顔を赤くし頭をテーブルに軽く打ち付けながら泣いていた。とりあえず萌菜華が隣のお兄さんにアピールするためにパンティをお兄さんのバイクの中に自分で入れたことにし、うちの両親が謝った。
「私の下着は私の事が嫌いなのかな・・・。」萌菜華は布団の中で泣いている。
しかしどうして萌菜華のものは変なところから発見されるのだろうか?
その時はこれが彼女の特殊能力に拠るものだとは誰も考え付かなかった。