シャルバス
遅くなりました。久し振りの戦闘回!
「さて、皆さんには二手に分かれてもらいます。私が素材調達、シャルバスが食料調達を担当します。すぐに分かれて仕事を始めましょう」
「「「はい!」」」
「シャルバス様。お願いいたします」
「うんうん。まかせて!」
セイファートとシャルバスは分れ、シャルバスは食料調達班を連れて森の奥に進む。すると目の前に二メートルはある黒い牛を見つけ身を隠す。
シャルバスは近くにいたゴブリンに尋ねる。
「アレは何?」
「アレは黒牛です」
「食べられる?」
「はい、食べられますよ」
シャルバス達から黒牛までは五メートル程距離がある。幸い黒牛は草を食べておりシャルバス達に気付いていない。シャルバスはゴブリン達に素早く指示を出し、黒牛を囲う様に布陣させ、<魔法収納>から電子ホイッスルを取り出す。
「それじゃ、始めようか」
電子ホイッスルを鳴らし、ゴブリンと風影狼が一斉に飛び出し黒牛に奇襲する。
「ブモォォォォ!」
黒牛が前方に走り出しゴブリン達の攻撃は当たらない。だがそれでいい。もともとこの奇襲は黒牛を追立てる為のもの。本命は。
「ブモォォォォ!・・・ォォォ・・・ォォ」
「よっしゃ!仕留めました!」
本命はわざと完全に囲わず直線上だけ開けさせ、奇襲し、開けておいた所に逃げさせて、罠に掛け仕留めるというもの。
「うまくやったね!」
シャルバスが黒牛を仕留めたゴブリンを褒める。
「いや~これもシャルバス様がお貸しくださった。これ等のお蔭ですよ!」
そのゴブリンの手には<泥濘化>の術式が刻まれた魔道具と黒牛の血がべっとりと付いたメイスがある。
「それ、あげるよ」
シャルバスは魔道具とメイスをそのゴブリンにあげようとするが、ゴブリンは遠慮する。
「いえいえ!これはシャルバス様の物!もらう訳には・・・」
「いいよ。僕これよりも良いものたくさん持ってるし、魔道具も<泥濘化>の魔法なら使えるから」
「ですが、シャルバス様の物を貰うなど」
ゴブリンは遠慮して中々受け取ろうとしない。う~ん、と唸っているシャルバスはハッと何かを思いついた。
「それじゃ。これは、命令。め・い・れ・い・だ。いいね!」
「・・・は~ぁ。分かりました。大事に使わせていただきます」
「うん!」
ゴブリンはシャルバスの命令には逆らえず渋々、魔道具とメイスを貰い受ける。
「そういえば君は何て名前なの?」
「自分はエッケルと言います」
「エッケル。よろしく!」
「はい!」
シャルバスは頭部が潰れた黒牛を泥濘化した地面から引き抜き、<魔法収納>に入れていく。更に<魔法収納>からナップサックを幾つか取り出す。
シャルバスはゴブリン達を集合させ幾つかの班に分ける。分かれた班に一つずつナップサックを渡し説明をする。
「これは、空間拡張をしてあるナップサックで見た目以上に物が入るようになっているから。倒した獲物はこの中に入れるようにね」
「「「はい!」」」
〇△□×
「キハハハ!アハハハ!」
奇声な笑い声を上げながらシャルバスは自分に集まる魔物を殺戮している。後ろから猪の魔物が襲ってくるが後ろにバク宙しながら猪の首を刎ねる。
シャルバスはエッケル達と少し離れた所でエッケル達には手に負えないような魔物を討伐している。
ククリナイフを直線に飛ばし熊の魔物を殺す。腕に巻き付けている鎖を引っ張り自分の獲物を引き寄せ、振り回す。縦横無尽に移動し魔物を翻弄する。
黒蛇が毒霧を噴射するがシャルバスは毒霧を全て吸い込んだ。
「危ないなぁ」
ただそれだけ言い、黒蛇に一瞬で近付き頭を吹き飛ばす。魔物達は一瞬怯むが直ぐにシャルバスに襲い掛かる。
「もうすぐ効果時間が切れる」
シャルバスはエッケル達がなるべく安全に狩りが出来るよう。周りの危険な魔物を自分に引き付けている。
熊の魔物がまた現れる。今度は先程のよりも大きく赤い、レッドベアーと言われる魔物だ。
「アクローム様にいいお土産になるかも!」
レッドベアーが何度も火球を放つがククリナイフで全て両断される。シャルバスはレッドベアーに素早く近付きレッドベアーの左脚を蹴り砕く。
「グァァァァ!」
苦痛の咆哮を上げながら前に倒れるレッドベアーの両腕を切断し、抵抗出来ない様にした後、顔を鷲掴み頭を一八〇度回す。
「グァァァ・・・ァァァ・・・ァァ・・・」
「キヒヒヒ。やっぱり魔誘薬は良く効く」
レッドベアーは息絶える。自分達より強いレッドベアーが倒されたことで怯んだかつ魔誘薬の効果が切れ始めた為、先程よりは襲って来なくなっていた。
「う~ん。これで終わり・・・じゃないみたいだね」
魔物達の間から現れるは、ライオンの頭、山羊の胴体、尻尾が蛇。
「キメラ・・・楽しそう!」
キメラがシャルバスに向かって火球を放つ。レッドベアーの火球とは比べ物にならない程の火球を切り裂く。両断された火球は後ろの魔物に当たり大爆発を起こす。シャルバスは自分の獲物であるククリナイフ、玉兎と鳥兎を
握る。
「グゥッォォォォォォン!」
キメラが雄叫びを上げ、火球を放ちながら突進する。シャルバスは突進を左に避けるがキメラがすぐさま方向転換をし、左前足の鋭い爪で攻撃をするがバックステップで避けられる。攻撃は地面に当たり地面が切り裂かれ土煙が上がる。
シャルバスはこの一瞬の隙を見逃さず近付き攻撃しようとするが、キメラは
近付くシャルバスに火球を放つが、ギリギリで火球に気付いたシャルバスは思い切り身体を反らせる。だがそれも想定していたのかシャルバスの上には伸びたキメラの蛇の尻尾があった。
「くっ!」
蛇の尻尾から火炎が放たれる。
シャルバスは身体を反らしたまま手を地につけ、地面を蹴り上げ、両腕を曲げ、伸ばす反動で火炎放射を避ける。
「グルルルル」
「ふぅ~、危なかった。もう少しで兎の丸焼き、いや丸焦げが出来る所だったよ」
そんな軽口を言いながらシャルバスはキメラを見る。キメラの火炎放射を受けた所は焼け焦げてその威力を目の当たりにする。
「ま、ゼノバルト様には遠く及ばないけどね!」
シャルバスは玉兎と鳥兎を左右の大木に巻き付ける。巻き付いた鎖を引っ張り大木を引っこ抜く。
「はぁぁ!」
抜いた大木を上に上げキメラに向かって上からぶつけようとするがキメラは悠々と避けるがシャルバスは更にキメラが避けた方に大木を振り回す。
流石にそれは避けられずシャルバスの大木攻撃が頭に当たる。
「グァァァァ!」
シャルバスは攻撃の手を緩めることなく大木を上から思いっ切り振り落とす。キメラは避けられず胴体に直撃した。
キメラは頭に当たって脳震盪を起こしているのか、なかなか起き上がらない。
シャルバスはこれを好機とみて玉兎と鳥兎を大木から離し手に戻す。シャルバスはキメラに一直線向かい玉兎と鳥兎を頭に突き刺そうとするがキメラは突然起き上がり両足でシャルバスを潰そうとするが咄嗟に両腕で両足を抑える。
「ふん!」
シャルバスは押し返そうと力を籠めるが、キメラの口が開き火炎放射をしようとするが、シャルバスの胸の部分から隠していた二本の腕が出てキメラの口を両手で塞ぐ。だがキメラの諦めず尻尾の蛇を至近距離で火炎放射をしようとするが更に隠していた二本の腕で尻尾の蛇を絞める。
それでもキメラは諦めない身体が光り始める。
「ハハハ!自爆!いいね!それ!」
シャルバスは笑いながら更に更に隠していた最後の二本の腕を出し、<魔法収納>から大鉈の白兎と月兎を取り出し手に持つ。
「これで終わり!」
白兎と月兎を振り落とす。するとキメラの身体から光が収まりだし、頭がズレ落ちる。
「僕の、勝ーち!アハハハハ!」
シャルバスは笑いながらキメラの頭部を掲げた。勝利のトロフィーの様だ。
周りにいた魔物は既にシャルバスから離れている。シャルバスは<魔法収納>にキメラと魔誘薬でおびき寄せて倒した魔物をしまう。
〇△□×
「シャルバス様!沢山手に入れられました!」
エッケル達がシャルバスの所に集まりだす。
「うん。それじゃ帰ろっか」
「「「はい!」」」
シャルバス達は 帰路に着く。アクローム達の下へ。
〇△□×
シャルバス。高い身体能力に兎特有の危機察知能力、大魔法すら扱える程の魔力と知力を持ち、八本の腕を持つ戦士。その戦闘能力はアクローム達、天使の中でも上位の実力がある。
そして八つの腕と二本の大鉈とククリナイフを使って戦うことから付いた二つ名は、❝八つ斬り❞シャルバスと――。
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