住人
難しいねぇ~、これ!
セルスとアウラがゴブリン村に転移すると既にクルウスとロベルカがいた。
「これは・・・どういう事だい?」
セルスの目の前にいたのは、大勢のゴブリン達だ。少なくとも約四○○人程おり。アウラがアクロームに話しかける。
「アクローム様。これは一体どういう事ですか?」
「あぁ。どうやら俺達の配下になりに来たらしい」
「ふ~ん」
「これで労働者不足は解消だな」
アクロームは大勢のゴブリン達を見て、労働者が増えて顔がニマニマしている
ゴブリン達は既にセイファートとシャルバスにより敵対するつもりがないことは証明済み。
「まぁ一応、こいつ等が俺達の所に来た理由はこういう事だ」
アクロームはアウラ、セルス、クルウス、ロベルカに何故このゴブリン達はアクロームの配下になりに来た経緯と理由を話す。
それは森の秩序が乱れた事に起因する。その原因がアクローム達である。アクローム達の強大な力の気配に森の魔物達が怯え始め、凶暴性が上がりゴブリン達の様な魔物の中でも底辺に位置する者達はすぐにでも殺されてしまうだろう。
そして森で上位の力を持つ種族達は今迄も小競り合いはあったもののアクローム達が来たことによって状況が一変した。
魔物とは自らの力を誇示したがる性質を持つ。それにより上位種族同士での小競り合いが頻発していた。だが何故武力衝突が起きなかったかというとこの森の暗黙の了解で、武力衝突には至らなかったのだ。
この森にいる全ての知恵ある魔物達は慌てた、自分達より確実に力がある。それこそ自分達、上位種族よりも強い存在を。
ゆえに慌てた。とある種族はアクローム達の傘下になろうと、別の種族は戦ってやると。今だ、上位種族達はどうするか決めあぐねているなか、そうしてこの森全体がピリピリとしてきた事でゴブリン達はその気配に恐怖した。
このままではもし、突如現れた強大な気配の存在達と上位種族達が衝突したらどうなるか。確実に衝突の余波で自分達など殺されてしまうと。
例え上位種族達の庇護下に入れたとしてもあれ程の力の気配がある存在と戦うのだ、自分達など肉の壁として使われるのがおちだと考えた。
ならば、少しでも生きる為にゴブリン達は突如として現れた、アクローム達の庇護下に入ろうとした。そしてこのゴブリン達がアクローム達の庇護下に入ろうとしたのには一つの噂があった。あの強大な存在の近くにはゴブリン達が住んでいるという噂だ。
ゴブリン達はこの噂に賭けた、もし噂が本当ならこの森にいるどの種族よりも強い存在達に守ってもらえると考えた。勿論この噂が間違いで殺されるかもと考えたがそれでも、少しでも生き延びられる道に賭けた。
そしてこの賭けにゴブリン達は勝った。強い力の気配を持つ存在達、アクロームは丁度、大量の労働者を求めていた。
「という訳だ」
「「「「なるほど」」」」
「では、上位種族とは何なのですか、お兄様」
「上位種族ってのはな」
上位種族。ヘルグラン大森林の中でも力ある種族の事。主に、豚頭族、蜥蜴人族、大鬼族、獣人族の四種族の事を指す。
「とまぁ、こんな感じだ」
「ありがとうございます。お兄様」
「別にいいよ。このくらい気にしないよ」
「ふふ。やはり私的にはそちらの方が落ち着きます。魔王モードのお兄様もかっこいいですが、やはりいつものオフモードの方が好きですよ」
「そうか」
「はい」
クルウスの言葉に少し照れるが。機嫌が更に良くなりクルウスの頭を優しく撫でながらゴブリン達に話しかける。
「で、だ。お前達は俺達の配下になりたいとの事だが、なら覚悟は出来ているという事だな?」
「「「「はっ!」」」」
ゴブリン達は一斉にアクロームに跪き、頭を垂れる。アクロームはこの村に来た時、ゴルムスの時の様に問い掛ける。
「お前達を配下に加える。なら、その見返りはなんだ?お前達は、俺達に何を差し出せる?」
「「「「我々の忠誠を捧げます! 我らに守護をお与え下さい。さすれば、我らは貴方様に忠誠を誓いましょう!」」」」
「「「「誓います!!!」」」
アクロームはゴブリン達の覚悟を見た。ならばアクロームに。
「良いだろう。お前達を配下に加えてやろう」
「「「「ありがとうございます!!!」
否は、ない。
〇△□×
アクロームは新たに配下に加えたゴブリン約四○○人にまず名を与え、服を与え、職を与えた。次に今いるゴブリン達を、食料調達班、素材調達班、建設班、整備班の四つに再編成し直した。
「今度はセイファートとシャルバスは食料調達班と素材調達班に付いて行ってくれ」
「了解しました」
「うん!また行ってくるね!」
セイファートとシャルバスはゴブリン達を連れ、再度森の中へ入っていく。
「次にセルスとアウラは建設班にゲルの作り方を教えてやってくれ」
「わかったよ~」
「はっ!」
そして整備班はアクローム、クルウス、ロベルカの三人で担当する。
「よし。お前達には俺達と一緒にこの森を開拓してもらう。木を切るのに必要な物はあるから、ジャンジャン木を切ってくれ」
「「「「はい!」」」」
アクロームは<魔法収納>から大量の斧とスコップを取り出し、分け与えた。ゴブリン達は早速、木を切り始める。
「ロベルカ。ゼノバルトとボルマスに配下が増えたことを連絡してくれ」
「もう既にしております」
「早いな」
「はい。ご主人様まだ何か御用がおありでしょうか?」
「そうだな。建設班を使って水路、下水道、家の建設を始めさせるから、コンクリート用の素材を素材調達班に集めさせるように二人に連絡しといてくれ」
「かしこまりました」
ロベルカは即座にセイファートとシャルバスに電脳で連絡を取る。
『もしもし、お二方聞こえていらっしゃいますでしょうか?』
『聞こえているよ』
『僕も聞こえてるよ!』
『ご主人様からです。素材調達班にコンクリート用の素材を集めろ。との事です』
『素材調達班。てことは、僕だね!分かった!集めてくるよ!』
『わかりました。何かありましたらご連絡ください』
『りょーかーい!』
『それでは、失礼いたします』
『ええ、それでは』
『バイバーイ!』
ロベルカは連絡を終える。
「連絡、終わりました」
「良し、俺達も木こりに参加するぞ」
「はい。わかりました」
「はい。お兄様」
まだ平穏な時間は続く。
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