衣、食、住
久し振りの投稿だーーー!
翌日。
「アクローム様、起きる時間でございます」
テントのファスナーを開けセイファートが声を掛けながら中に入ってくるがアクロームは起きない。
それもその筈。アクロームは昨日の出来事についてゴブリン達に事情を説明し、その後ゴブリン達の所に元の結界の上に更に強固な結界を張った為寝る時間が削れてしまったのだ。
「起きませんね」
セイファートは声を掛けても起きないので寝袋で寝ているアクロームを優しく揺すって起こそうとする。
「ううん」
(はぁぁ~。この方達はいつものことながら飽きませんね)
セイファートは寝袋のファスナーを下げる。すると中にはアクロームの右腕にクルウスが抱き付き左腕にはセルスが抱き付き、上にはアウラが抱き付いている。
「アクローム様、クルウス様。起きて下さい。朝食の準備が出来ております」
「朝、食」
朝食の二文字に反応して、アクロームが目覚める。ゆっくり右腕と左腕を二人から抜け出し、体を起こす。その際アウラが倒れないように抱きかかえる。
「ふぁぁ~、眠い」
「太陽の位置からして、朝の五時位ですから」
「そうなのか」
「はい」
「それじゃ三人を起こすか。起きろ~朝だぞー」
そうアクロームが声を掛けると三人が目を覚ます。三人は目を擦りながら起きる。
「なんだい、もう朝かい」
「朝飯食いに行くぞ」
「分かりました、お兄様」
アクローム達はテントから出て伸びをする。
〇△□×
朝食を食べた後、アクローム達は森を開拓しているシャルバスの所へ行く。
「どうだシャルバス。開拓は順調か」
シャルバスは首を一八〇度回転させ話す。
「うん!うん!順調だよ!もっともっと切って!切って切って切って!さらに広げるよ!」
「そうか怪我には気をつけろよ」
「分かってるよ!それにしても今は魔王モードじゃないんだね!」
「今ここには、身内しかいないからな」
魔王モードそれは、アクロームの真面目の時のモードであり、普段は動画を観たりゲームをしたりと大分だらけているような性分だ。
「で、僕に何か用?」
「あーそうそう。シャルバス。俺達と一緒にゴブリン達の家を作るのを手伝ってくれないか」
「うん!いいよー!」
「よし、行くぞ」
シャルバスは手を止め、手に持っている大鉈、白兎と月兎を<魔法収納>にしまう。そして体を一八〇度回転させる。
アクローム達はゴブリン達の所へ向かう。
〇△□×
「まさか、少し見ない間にこんな事になっているとはな」
「私からすれば別に不思議な事ではない。むしろこうなって当然というべき事だね」
アクローム達は<転移>でゴブリン村である異変を目撃していた。それはゴブリン村に居たゴブリンや影狼が全員進化しているのだ。ゴブリンはホブゴブリンに影狼達は風影狼に進化していた。
ホブゴブリンはゴブリンの時より大きく成長している為、服のサイズが合わず布面積が局部を隠す程度しか残っていない。
風影狼は影狼の時よりも一回り大きくなっている。
「アクローム様!お久日振です!」
村長のゴルムスが頭を下げながらスライディングしてきた。
「ゴルムスか。昨日振りだな」
アクロームはゴルムスの身体を見る。ヨボヨボで瘦せていた身体は若返り、筋骨隆々の身体になっていた。ボディビルダーと言われても納得の身体だ。
「ホント、名は体を表すと言うがその通りにゴツくなったな。しかも身長もボルマス位あるぞお前」
「ありがとうございます。それでここには何の用で来られたのでしょうか?まだこことあちらは繋がっていませんが」
「あっちとはあと三日位で繋がるはずだ。それよりも今はお前達の服をどうにかするのが先だ。此処に全員集めてくれ」
「了解しました!」
三分もすればゴブリン村の全員がアクロームの下に集まる。するとアクロームが一つの魔法を使う。すると集まった全員の身体が光り、光が収まると今迄着ていたボロ布としか言えないような服から普通と言える服にランクラップしていた。
「これは一体」
ゴルムス達はアクロームが魔法で作って着せた服を見ている。
「これは創造魔法で作った物だ。サイズが合わないなんて事は無いと思うがもし合わなかったら言ってくれ」
アクロームは自身の力の影響で創造系及び回復系の魔法が苦手であるがこれくらいなら造作もない。一通り確認した後アクロームは改めてここに来た目的を話す。
「俺達は今からお前達の家を造る。それを手伝ってほしい」
「家ですか」
「あぁ。今から造るのはモンゴルゲルというものだ」
「モンゴル・・・ゲル?」
「あぁ。これだけ居れば直ぐに完成するだろう。造る時の指示や補助は俺達がやるから、お前達はその指示に従ってくれ」
「わかりました」
「よし。行動開始」
アクロームは<魔法収納>から大量のゲルの材料を取り出し、五、六人の班を作りそれを分配し電脳で『簡単!モンゴルゲルの作り方!!』を観ながら指示する通りに組み立てていく。一人で4つの班を見ていく。指示出しはアクローム含め六人居る為、二十四つのゲルが出来る計算だ。
四十分もすればモンゴルゲルの完成。其処からゲルの中にベッドや机などを搬入していく。
「どうだ。ゲルの中は簡単な割にいい家だろ」
「はい。このようなもの見たこともありません!」
「何すぐにもっといい家に住まわせてやるよ。だからそれまでこれで我慢してくれ」
「いえいえ!私達にとってはこれだけでも感謝しかありません!」
ゴルムスは頭を垂れその感謝の気持ちを表す。
「ふっ。お前達は俺達の、魔王の庇護下に入ったのだ。それくらいして当然だろ」
それを聞いてゴルムスは更に感動し、滝の様な涙が出る。
「ほら立て、住むところが出来たら次は狩りを教えるからな」
アクロームは自分の下にまた集合させる。次は狩りをする班はそのままゲルを造った時の班のままでやる事に、その際何かあった時の為に何班かは此処に残しておくようだ。それにゴルムスは村長の為ここに残る。
狩りの仕方として、主に風影狼に乗り狩りする。勿論剣や槍、弓、狩りに必要な物も用意しておく。
そして狩りの教官役としてシャルバスとセイファートが担当する。
「頼んだぞ」
「お任せください」
「うんうん!任せといて!エヘヘヘヘ!」
セイファートとシャルバスは今回狩りをする班を連れて、森の中へ入っていく。
「お兄様、これからどうするのですか?」
「そうだな。残った者達は、弓の練習でもしておくか」
アクロームはクルウス、セルス、アウラに弓矢を渡す。そして少し開けた所に弓の的を設置していく。クルウス、セルス、アウラはゴブリン達に弓矢を渡している。
「的は全部で十個。ちゃんと並んで練習するように。弓の引き方としては胸を張って、リラックスし、狙いをちゃんと定めれば大体当たる。まっ、とりあえずやってみな」
そう言い、ゴブリン達は弓矢の練習を始める。アクロームは側で見守っている。その近くにクルウス達が側による。
「アクローム様、昨日からずっとですが見られていますよ」
「分かっているよ。何処の誰か知らないが俺達を観ているのは相当な魔法技術があるようだ」
「ご主人君の結界を透視してるなんて、相当だねぇ~」
「お兄様の結界を透視しているという事は、やはりこの世界の魔王という事なのでしょうか」
「それは分らないが、確実に言えることはただ一つ。この世界は俺達を楽しませてくれる存在がいるという事だ!」
今のアクロームの顔は途轍もない程に笑っている。
〇△□×
「あいつらスゲーな。まさかあの野郎を撃退しちまうんだからよ」
薄暗い空間に男の声がこだまする。
「それよりも良いのか、このまま放置しておいて。こやつ等、妾達が観ている事に気づいておるぞ」
美しく、そして震える程の美声の女が発言する。
「僕は別に構わないよ、あの子たちがアイツを倒してくれるのなら僕は大歓迎だよ!それに僕達が観ている事に気付ける存在なんか今迄この世界には誰もいなかったからね!」
今度は少し子供っぽい声のする男が面白そうに話す。
「私も構わないわ。」
少しおっとりとした口調の女が発言する。
「俺も、傍観に徹するとしようじゃないか!」
「なら、妾もそうするとしよう」
今、此処にいる全員が傍観する事に賛成した。
「さぁ、彼奴らが成す事、やる事、全部観ていこうじゃないか!」
四人の中心にある巨大な水晶の中にアクローム達が映っており、今ちょうどゴブリン達の弓矢の練習風景を映している。
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