敵、脱出
生きてる、俺は生きてるぞー!!
聖なる極光は直ぐに収まっていく。ウルギラの現状、最高威力の一撃は、周りの高層ビルや建物を広範囲で破壊尽くし一キロ先の建物すら破壊し、周辺は莫大な高熱のエネルギーにより融けてしまっている。
だがその一撃は確実に結界に大きな負担をかけ、一部に亀裂が入っている。だがまだ気付かない。
「流石に死んだろう。流石に・・・」
「フラグを立てるな、ウルギラ」
「あ」
「一応、フラグが立ってないか確認しに行くぞ」
「分ったよ」
ウルギラが敵を倒し切れていないフラグ発言をしたので、レオノートとウルギラは奴が確実に死んでいるか、確認をしに行く。
奴が攻撃を受けた所の下に行く。奴の死体は地面に落下したと思わしき所を探すが、死体が見つからない。
「無いな」
「確かに無いが他の所に落ちているかもしれない。もう少し探すぞ」
「分ったよ」
慎重なレオノートは別の場所に死体があると思い別の所へ行こうとする。その後ろにウルギラが付いていく。
一分ほど慎重に探したが灰の一つも見つからなかった。
(やはり完全に消滅させたのだろう。ボルマス様に報告しなければ)
レオノートが通信を入れようとした時、パリンと割れるような音と共に莫大な魔力を感知した。
(まさか、結界が破られたのか!)
本来の結界強度では破ることなど到底不可能である<大結界異次元領域>。だがこの異世界に来た事によるアクローム含めた全員の弱体化により、ミュウラー含めた結界師達の張る<大結界異次元領域>は結界強度が落ち、破られ易くなってしまっていた。
(まずい、このままだと奴が出てしまうぞ!)
レオノートとウルギラが破れた所に向かおうとするも正面から巨大な黒炎球が迫る。二人はその攻撃を左右に避ける。すると目の前に魔法で姿を隠していた奴が現れ、さらに大量の黒炎球を放つ。二人はその攻撃を避け続けるが破れた所までは届かない。奴はそのまま結界の外に出てしまった。
(なんという失態だ!これでは魔王様方や妹君様に顔向けできないではないか!)
(これは、うん。ヤバいわ、アクローム様に顔向けできねぇわ、これ)
レオノートとウルギラは胸中でそんなことを呟きながらも破れたとこまで近付いていく。
〇△□×
「という事なのです」
「「なるほど」」
マリアから今の現状を聞きアクロームとゼノバルトは奴について少し考えていた。
何故ボルマスの一撃を喰らっても生きていたのか。何故、迷宮奥深くに封印されるように磔にされたのか。何故、ボルマスだけを必要に攻撃していたのか。だが二人がいくら考えた所で答えにはたどり着けない。なので二人は一旦考えるのをやめ、結界に目を向ける。
「考えるのは後にして。今はこの中にいる敵、仮名ラビリンスマンと呼称するがどうする」
「大分ストレートな名だが、それより早く結界内に入った方が良いだろう。俺の妹も居るようだしな」
「わかった。行くか」
アクロームとゼノバルトが結界に入ろうとした瞬間に内側から結界が破られ、内側からラビリンスマンが現れる。
ラビリンスマンはアクロームを見ると、背中から魔力を噴射しアクロームに突撃していく。
「ふっ」
「ガッ!」
だがラビリンスマンはアクロームの隣にいたゼノバルトにより顔を蹴り飛ばされる。だが直ぐに体勢を立て直した。
「ガァァァァァ!」
ラビリンスマンは奇声を上げながらまたアクロームに接近する。だが今度はアクロームの<氷結封殺>で氷漬けにさせる。
「<霊子灼業破陣>」
氷漬けにされたラビリンスマンを中心にゼノバルトが魔法陣を展開した。そして魔法陣から眩い光が天に上る。その中心はまさに灼熱。七○○○度にも及ぶ高熱にラビリンスマンは魔法陣から飛び出し、アクロームを睨みながら森の奥に逃げていった。
〇△□×
「もういいぞ」
アクロームの言葉でゼノバルトは魔法陣を消すと光は消え、魔法陣があった場所は黒く焦げてしまっていた。
「逃げたみたいだな」
「あぁ。だがあのしつこさだ、またやってくるだろう」
「その時は根源も残さず消すまでだ」
「もちろんだ」
二人はラビリンスマンが逃げた方を少しだけ見る。直ぐに振り返りマリア達の所まで戻る。アクロームとゼノバルトが戦った時間は僅か五秒と短かったが二人にとっては話に聞いていた通りの危険な存在だと再確認できた。
「お前達、もう結界は維持しなくていいぞ」
「わかりまし、た!」
結界を維持していたミュウラー達はよほど疲れたのか肩で息をしている。頭上にあった結界はどんどん亀裂が入り、割れてしまう。
「うい、しょっと!」
「ふぅ」
割れた結界の中からボルマスがガリアノーズと共に下りてくる。その後にもレオノート、ウルギラと、結界にいた者達が下りてくる。
「お兄様ぁぁぁ!」
「ミリアか」
ミリアがゼノバルトに向かって落ちてくる。ゼノバルトはお姫様抱っこで抱える。ミリアはゼノバルトの首に手をまわし落ちないようにしつつ、匂いを嗅いでいる。
「スーハー、スーハー。やっぱりお兄様の匂いは最高です!」
「そうか」
「はい!」
ゼノバルトはミリアを抱えながら、ボルマスの所へ行く。
「心配はしていなかったが、どうやら無事なようだな」
「ゼノか。おうよ、この通りよ!」
ボルマスはその場でブレイキンをする。
「ブレイキンまではしなくて良かったのだが」
「で、アクロームは?」
「アクロームならあそこでミュウラー達を労っているところだ」
ミュウラー達に声を掛け、褒めているところだった。
「とりあえず、寝ていいか。少し寝みぃからよ。詳しい話は明日にしてくれ」
「わかった」
ボルマスは自分のテントに入っていく。
「俺達も寝るか」
「はい!お兄様」
ゼノバルトとミリアもテントへと入っていく。
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